高知県議会 > 2021-03-03 >
03月03日-03号

  • 家賃低廉化 補助 住宅確保要配慮者(/)
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  1. 高知県議会 2021-03-03
    03月03日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年  2月 定例会(第357回)-----------------------------------        令和3年3月3日(水曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       井上浩之君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長職務代理 西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      織田勝博君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     馬殿昌彦君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和3年3月3日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計予算 第2号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和3年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和3年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和3年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和3年度高知県中小企業近代資金助成事業特別会計予算 第13号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和3年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和3年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和3年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和3年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和3年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和3年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和2年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和2年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和2年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 令和2年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 令和2年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 令和2年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 令和2年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 令和2年度高知県中小企業近代資金助成事業特別会計補正予算 第33号 令和2年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 令和2年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和2年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第36号 令和2年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和2年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第38号 令和2年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第39号 令和2年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第40号 令和2年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第41号 令和2年度高知県病院事業会計補正予算 第42号 高知県軽費老人ホーム等の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第43号 高知県指定居宅サービス等の事業等の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準等を定める条例議案 第44号 高知県指定障害児通所支援事業等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第45号 高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第46号 高知県ホストタウン新型コロナウイルス感染症対策基金条例議案 第47号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例議案 第48号 高知県中小企業・小規模企業振興条例議案 第49号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県建築士法施行条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第60号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県立中学校、高等学校及び特別支援学校設置条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県が当事者である和解に関する議案 第64号 高知県が当事者である和解に関する議案 第65号 南国市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第66号 香南市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第67号 日高村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第68号 香南香美衛生組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第69号 仁淀川下流衛生事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第70号 日高村佐川町学校組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第71号 仁淀消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第72号 高知中央西部焼却処理事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第73号 田ノ浦漁港製氷貯氷施設の指定管理の指定に関する議案 第74号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第75号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第76号 県が行う流域下水道の維持管理に要する費用に対する市の負担の変更に関する議案 第77号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第78号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第79号 (仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 公安委員長小田切泰禎君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員西山彰一君を職務代理として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計予算」から第79号「(仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで並びに報第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」及び報第2号「令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」、以上81件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 24番黒岩正好君。   (24番黒岩正好君登壇) ◆24番(黒岩正好君) 皆さんおはようございます。私は公明党を代表して、知事並びに関係部長に質問をいたします。 今回の質問で、私は40回目となりました。これまでも、橋本、尾崎、濱田3知事の下で様々な県政課題について質問をしてまいりました。特に、私は橋本知事の時代、まず印象に大変残っているのは、県の直貸し融資でモード・アバンセに対する疑惑の追及の大きな課題が噴出をいたしました。そして、平成12年に、特定の協業組合に対する融資問題等調査特別委員会が議会で設置をされまして、いわゆる百条委員会でありますが、その委員として疑惑追及の議論を展開させていただきました。そしてまた、平成15年坂本ダム等に関する調査特別委員会という形で、平成3年の橋本知事が初当選をしたときの知事選挙に絡む疑惑が噴出をして、百条委員会が設置をされました。これもまた委員として参加をさせていただいて、様々な疑惑追及の議論をさせていただきました。 このように、橋本県政は大変に混乱をする状況の中で、平成16年には9月議会、県政史上初めてとなる知事への辞職勧告決議が賛成多数で可決をいたしまして、その直後橋本知事は当時の森議長に対して退職届を提出するという、まさに前代未聞のそういった状況がこの議場の場で展開をされたわけであります。まさに混乱の橋本県政というイメージが、私自身に色濃く残っておるわけであります。 そして、その後を受けた尾崎知事は、県外が、例えば有効求人倍率が1倍を超えても、本県の場合はその半分以下の0.48倍、この程度しかなく、若い皆さん方が働きたくても働けない、こういう時代状況であり、県外へ職を求めて出ていかなければいけない、こういった時代でありました。その改善のために、尾崎知事は、産業振興計画を中心として様々、県下各地の1次産業、2次産業に力を入れて仕事をつくる、そういう取組を進めてまいりました。そして、産業振興計画が順調に進む中で地産外商の成約件数も56倍まで伸びるという、大変に高知県勢を大きく上昇させた、そういう取組ができたわけであります。 そして、そのバトンを受けた濱田知事は、就任以来1年3か月、ほとんどが新型コロナウイルス感染症対策で、その様々な取組をせざるを得ない状況になったわけであります。今回の予算編成、明年度の予算編成、まさに濱田知事が就任して思いを込めた今回の予算編成であろうかと思っておるわけであります。そういう意味で、濱田知事におかれては、様々な行政経験を生かして、そしてその間に培った人脈を大いに活用して、この県勢の発展、浮揚のために、どうかこれからも尽力をお願いいたしまして、質問に移りたいと思います。 まず、ワクチン接種について質問をいたします。 ワクチン接種が、医療関係から順次行われてきており、4月中旬からは65歳以上の高齢が対象となるとの報道がされております。今般、薬事承認されたファイザー製は、95%の有効性で発症を防ぐ効果が認められ、感染の収束に向けて大いにその効果が期待をされるところであります。 こうしたワクチンの効果や副反応の状況が徐々に明らかになるにつれ、世論調査などによる国民のワクチン接種に対する考えも、以前と比較して随分と前向きになってきているのではないかと考えています。しかし、先日のテレビ報道でのアンケート調査結果では、安全性を心配する人が5割を超えるなど、開発間もないワクチンの副反応やアナフィラキシーなど、県民の不安は依然として根強いものがあります。 こうした状況を踏まえて、県としてワクチン接種にどう臨むのか、知事の御所見を伺いたいと思います。 次に、産業振興計画と県経済について質問をいたします。 産業振興計画は、令和2年度から第4期がスタートいたしました。知事は、昨年の2月議会で私の質問に対して、第4期の産業振興計画がスタートするに当たり5つのポイントを示されました。1点目は、デジタル技術と地場産業の融合、2点目は、県外・海外とのネットワークの強化、3点目は、担い手確保策と移住促進策の連携、4点目は、県内事業のSDGsを意識した取り組みの促進、5点目が、中山間地域での施策の展開を特に意識することの5点を挙げられました。しかし、昨年来新型コロナウイルスの感染拡大により各産業分野で多大な影響を被り、経済活動が大きく下振れを生じました。そのため、これらの施策も十分発揮できなかったと思います。 今議会開会日の知事提案説明では、昨春からの一年は、新型コロナウイルス感染症の対応で守りの一年であり、令和3年度は攻めの一年に転じるとの決意を表明いたしました。その際、デジタル、グリーン、グローバルの3つのキーワードを示されました。 1月に発表した高知財務事務所の高知県内経済情勢報告では、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある中、一部に弱さが見られるものの持ち直しつつあると、今年の1月判断を発表しています。 また、日本銀行高知支店長は、年頭に発表した2021年の展望で、我が国、高知県ともに、新型コロナウイルス感染症の帰趨によって大きく変わり得るが、現状この点については依然として不確実性が高い、すなわち、感染症に有効な治療薬やワクチンの抑止効果を発揮するかの点や感染症の流行の見通しなどが不透明であり、こうした状況が先行きの経済動向に関する見通しを非常に難しくしていると、論評しております。 そこで、新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況など、産業振興計画を進める上で、本県の今の経済動向をどのように認識しているのか、知事にお伺いをしたいと思います。 昨年の国勢調査の速報値は、コロナ感染症の関係から発表が遅れ、6月頃と言われています。5年前の国勢調査の速報値は、約3万6,000人の人口減との発表がされましたが、今回もそれ以上の人口減少が予測をされます。特に毎年、大学進学や就職で県外に転出する若い世代の方々の人口流出が顕著であります。 ちなみに、国勢調査の平成2年、1990年と高知県推計人口の令和2年、2020年の30年間の人口動態の推移を比べてみると、例えば平成2年、1990年は、高知県が全国に先駆け人口自然減が始まった年でありますが、このときの10月1日現在の人口は約82万5,000人、昨年10月1日現在は約69万人、この30年で約13万5,000人が減少をしております。年少人口は、現在約7万6,000人、この30年で約6万8,000人が減少をしています。生産年齢人口は、現在約36万8,000人、この30年で約16万8,000人の減少。老年人口は、現在約24万6,000人、この30年で約10万4,000人の増加となっています。 これまで、産業振興計画を中心として、地産外商、雇用の拡大、移住促進の推進、結婚・子育て支援など、県の重要政策として取り組んでまいりましたが、県の人口を拡大することは、容易なことではありません。先日、第4期産業振興計画ver.2における戦略の方向性が示され、付加価値や労働生産性の高い産業を育む、ウイズコロナ・アフターコロナ時代への対応の方向性の下で、重点ポイントとして、地方への新しいひとの流れを呼び込むための取り組みの強化、関西圏との経済連携の強化など、6つの重点ポイントを強化するとしております。 そこで、この30年の人口推移の状況などを踏まえ、どのような思いで産業振興計画の戦略の方向性を示されたのか、知事の思いを伺いたいと思います。 地方に住む私たちにとっては、人口問題は大きな課題であります。本県は他の県に比べ、早い段階から少子高齢の進展や若者の県外流出などから、高齢夫婦世帯や単身高齢世帯が多い実態となっています。産業振興計画などの取組により、少しずつ状況も変わりつつありますが、まだまだ若い世代が働きたい職種など、多様な雇用の受皿を増やす取組も一段と行っていかなければなりません。 先日、高知労働局から発表されました12月の有効求人倍率や新規求人倍率は、コロナ禍の中、地域差はあるものの2か月ぶりに増加に転じています。今朝の新聞報道でもありましたが、昨日の労働局の発表では、有効求人倍率が1.06倍という、こういった状況に大きく改善をしているわけであります。これは、雇用調整助成金や持続給付金をはじめ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、生活や雇用を支えるセーフティーネットを強化する施策が数多く盛り込まれ、国や県のコロナ感染症対策の取組効果が現れていると感じています。 しかし、その中にあって、コロナウイルス感染拡大による影響を大きく受ける女性や非正規雇用で働く人など、潜在的な休業、失業の状況も無視することはできません。何よりも大事なことは、必要とする人に支援が行き届くことが重要であります。 そこで、先月知事が本部長を務めている県雇用対策本部会議が開催をされ、県内就職支援の強化等、雇用対策の協議がされていますが、さらなる雇用対策の充実に向けて、本部長としての知事の思いを伺います。 何といっても、若い世代の人に高知にとどまっていただく取組も重要であります。これまでも、高校生の地元大学進学率は約20%程度と言われてきました。大学卒業後も地元に残りたい学生をいかに増やすのかが、課題となってまいりました。 平成28年2月議会での私の質問に対し、当時の教育長は、新たな教育振興基本計画で、県内大学の入学定員に占める現役の公立高等学校卒業生の割合を現状の20%から25%以上、人数にすると100人程度増加させる目標を設定すると答弁をされました。また、高校生の県内企業へのインターンシップの充実も図られてきております。 そこで、高校生が卒業後に県内にとどまっていただくための、この5年間の取組状況や課題について教育長に伺います。 県内の大学は、他県からの入学が多いという特徴がありますが、地域協働学部や地域学などを学び、学生が地域の文化や歴史に直接肌で触れる機会も多くなってきており、高知や地域への愛着が生まれ、地域と産業の担い手として卒業後も就職、定住へとつながることを期待するものです。 そこで、県内の大学別に県内出身で、県内、県外の就職の割合はどうか、県外出身で県内、県外の就職の割合はどうか、併せて文化生活スポーツ部長に伺います。 また、県外の大学等に進学した学生に対して、就職説明会や企業紹介など高知へのUターンを促す取組を行ってきておりますが、現状や課題はどうか、併せて県外の大学との就職支援協定の状況はどうか、商工労働部長に伺います。 また、コロナ禍を契機として、地方でのリモートワークやふるさとへのUターンなど、地方で暮らすことへの関心が高まってきております。これまでも様々な移住促進策を進めてまいりましたが、新たに施策をバージョンアップして、来年度は移住数1,150組の目標を示されました。 来年度の移住促進策について、これまでと比べ、どのような取組を強化して目標を達成しようとするのか、産業振興推進部長に伺います。 平成26年7月に高知県と高知労働局とが締結した高知県雇用対策協定に基づき、毎年事業計画が策定されてきております。これには、それぞれの役割や進捗状況、目標値も示されておりますが、現状をどのように総括し、今後の取組を進めようとしているのか、商工労働部長に伺います。 高齢を背景として、70歳までの就業機会の確保を企業努力とする改正高年齢等の雇用の安定等に関する法律が、この4月から施行されることになりました。このことも踏まえた本県の高年齢雇用の現状と課題などについて商工労働部長に伺います。 国では、令和元年6月に就職氷河期世代支援プログラムが取りまとめられ、3年間集中して支援する方向性が示され、就職氷河期世代の就職や社会参加の実現に向けた取組として、昨年6月には、こうち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームが設置されています。 そこで、これまでの県としての就職氷河期世代への取組状況や課題について商工労働部長、地域福祉部長、教育長に伺います。 次に、桂浜水族館の支援について質問します。 本年1月12日、県立ふくし交流プラザにおいて、県民座談会「濱田が参りました」が開催され、私も参加をいたしました。この県民座談会には、高知市で活躍する7団体の責任が出席しての会合でした。各団体との意見交換を聞かせていただきましたが、高知県の観光名所である桂浜水族館の運営に関し、後日桂浜水族館の館長から実情を詳しくお聞きしました。 桂浜水族館は、昭和6年に設立し、今年で設立90周年を迎える大変歴史のある、日本でも最古の民営水族館であります。桂浜水族館には、これまで県民をはじめ多くの観光客が訪れ、地元への経済効果のみならず高知県観光に大いに貢献をしていただいただけではなく、昭和27年には高知県の博物館第1号に指定された教育施設でもあります。そのため、水族に関する多くの情報提供、知識の普及啓発に携わるとともに、水族との様々な触れ合いを企画し、高知県の子供たちの教育の場としても大いに寄与してきた場所でもあります。私も小学校の頃、佐川小学校から貸切りバスで、同学年のメンバーと一緒に遠足で行ったことを思い起こします。 桂浜水族館は、公益法人の法人格を持つ民設民営の水族館で、公益法人の認定は県知事であります。知事が認定している内容は、公益事業、水族に関する知識の普及啓発、学芸員、飼育員の研修等となっています。現在、高知県や高知市から補助金等の財政的な支援は受けておりません。 濱田知事との意見交換でもあったように、民間経営であることから、これまで様々なアイデアや知恵を生かしたやりくりで運営を続けてきておりますが、財政上の課題もあり、教育施設としての十分な運営ができない状態となっております。そのため、桂浜観光の一翼を担う施設として、教育よりも観光にも力を入れざるを得ない現状となっています。さらには、昨年来の新型コロナ感染症などの要因により、その厳しさも一段と増してきております。 桂浜水族館の館長は、今後高知市との関わりやどのように桂浜を盛り上げていけるか、高知を代表する観光地としてお客様に喜んでいただけるかなどを考えると、桂浜水族館の存続について御協力と応援をお願いしたいと県民座談会の中で、濱田知事に対して支援の要請をされておりました。 そこで、今後とも高知を代表する水族館としての役割を果たせるよう、何らかの支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、高齢福祉・介護について質問をします。 私が県議会議員に初めて当選したのは、22年前の平成11年のことでした。当時は、高齢の進展に伴い、介護を必要とする高齢の増加や介護の長期などにより介護サービスに対するニーズが増大し、他方では、核家族の進行や介護をする家族の高齢など、介護が必要な高齢を支えてきた家族の状況も大きく変わり、それまでの老人福祉や老人医療制度による対応は限界となっていました。 このため、高齢の介護を社会全体で支え合う新たな仕組みとして、介護保険制度が創設され、平成12年4月からの施行に向けて様々な準備が進められておりましたが、一部市町村における介護サービスの確保対策や介護認定などの準備の遅れ、また介護保険料負担への不安などから、実施延期も大きな議論となっておりました。 そのような状況の中、私は初めての本会議での質問において、高齢対策の中で、特に一人暮らしのお年寄りが安心して暮らしていける体制づくりの必要性を訴えました。 その後、介護保険制度はスタートし、制度施行から21年を経過した現在では、サービス利用も制度スタート時と比べ3倍以上となるなど、高齢介護を支える必要不可欠な制度として、国民の間に定着をしてまいりました。 一方、少子高齢がますます進行する我が国において、お年寄りだけでなく、子供たち、子育て世代、現役世代まで広く安心を支えていくために、政府では全世代型社会保障改革の検討が進められ、昨年12月に改革の方針が示されました。この方針において、全世代型社会保障制度を実現するために、現役世代への給付が少なく、給付は高齢中心、負担は現役世代中心という、これまでの社会保障の構造を見直すという方針が掲げられていることから、介護保険制度はこれまでも見直されてきておりますが、今後もその在り方についての議論がされると考えられます。 私は初当選以来、高齢の方々に、たとえ介護が必要となっても、住み慣れた地域で尊厳を持って暮らし続けていただきたいという思いから、議員生活のライフワークとして、この場で様々な質問や提言を行ってきました。新年度予算は、これまで以上に住み慣れた地域で、在宅での介護の方向性を明確にした予算編成になっていると思います。 そこで、知事は、これまでの総務省などでの経歴を見させていただくと、福祉など社会保障分野に直接携わったことは少ないように見受けられますが、高齢が全国と比べ10年先行している高知県の知事として、高齢介護に対する思いやこれまでの介護保険制度の評価、また今後持続可能な社会保障制度を構築していく中で介護保険制度はどうあるべきか、知事に御所見を伺いたいと思います。 さて、介護保険制度は、3年に1度各市町村及び都道府県において、介護を必要とする高齢の状況やそれまでの取組の結果などを踏まえ、介護保険事業計画または支援計画の策定を行うこととされ、本年度は、来年度からの3年間を期間とする第8期介護保険事業支援計画の策定が行われております。 国では、第8期計画の策定に向けて基本指針の見直しを行い、2025年及び2040年を見据えたサービス基盤、人的基盤の整備や介護予防等の充実、地域包括ケアシステムを支える介護人材の確保などについて、充実を図るよう求めております。 私は、若い世代が今後とも減少し、一方で、いわゆる団塊の世代の全ての方々が75歳以上となる2025年や、介護ニーズが高い85歳以上の高齢が急速に増加すると見込まれているその先を見据えたとき、介護基盤の充実強化に向けた来年度からの3か年の取組が非常に重要となると考えています。このため、昨年2月議会においても、第8期計画策定に向けて介護人材の確保対策の重要性などの質問をいたしました。 本県では、これまでも本県特有の課題に対応するために様々な対策を講じてきております。例えば、都市部と比べサービス提供の効率が悪い中山間地域であっても、必要とする介護サービスが受けられるよう、県と市町村で、中山間地域介護サービス確保対策事業を平成23年度から実施し、昨年度は約1,000人の方が、この制度を利用しながら在宅での生活を送られています。 この事業を実施するに当たって、当時の尾崎知事は、全国より10年高齢が先行している本県で、全国に先駆けこういった取組を行った上でその効果を検証し、国に提案することにより介護保険制度の改正へつなげていくことで、これからますます高齢が進む本県を、また日本を、将来にわたって誰もが安心して暮らし続けることができる地域をたくさん持てる、そういう県にしていきたいと、熱い思いを述べておられました。このように、高齢の願いをかなえるためには、全国に先駆けた独自の取組が必要だと考えます。 濱田知事の高齢に対する思いを実現するために、知事にとって初めての計画となる第8期計画において、重点をどこに置き、濱田カラーを具体的にどのように打ち出したのか、知事の思いを伺います。 また、今後とも過疎、高齢、若者の減少が都市部以上に進展し、サービス提供がますます困難になると思われる中山間地域において、高齢の願いをかなえるよう、介護サービスを確保するためには、制度創設から10年が経過をしました中山間地域介護サービス確保対策事業の拡充も必要ではないかと考えます。 この事業がこれまで果たしてきた役割と今後の在り方について地域福祉部長に伺います。 また、知事の提案説明において、地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化のため、介護事業所を併設した高齢向け住居の整備を進めていく方針が述べられました。 これまでも、有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅の整備も進められてきましたが、これらの施設には、特別養護老人ホームなどのような、所得によって家賃や食費を軽減する仕組みがありません。このため所得の少ない高齢は、経済面から入居することができず、不安なまま一人で暮らしている方も大勢おられるのではと思います。 そこで、地域で高齢の在宅療養を可能とする環境整備を図るために、今回県として進めようとしている高齢向け住まいの整備については、低所得も入れるような方向性も検討すべきと考えますが、地域福祉部長に伺います。 一方、介護人材の確保については、厳しい状況が続いております。特に地域包括ケアシステムにおいて基幹的な役割を担う訪問介護員は、昨年度の有効求人倍率が全国で15倍を超え、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で離職が相次ぎ、さらに厳しい状況となっていると言われています。このため、新型コロナウイルス感染症の影響により介護人材確保への影響が生じていないか、懸念をされるところです。 現在、本県における介護人材の有効求人倍率は2.6倍となっておりますが、第8期計画では、新たに特別養護老人ホーム30床、認知症高齢グループホーム162床などの整備を予定しています。今年、高等学校や専門学校を卒業し、新たに介護現場に就職を予定している学生の人数のこれまでとの比較や、昨年2月議会において説明がありました外国人介護人材の確保対策の検討状況などを踏まえ、この新たな施設整備などに伴い純増となる介護職員を本当に確保できるのか、また団塊の世代が75歳以上になり始める来年度以降、介護ニーズは急増すると言われています。 そこで、今後どの程度の介護人材の確保を進めていかなければならないのか、地域福祉部長に伺います。 厚生労働省は、この4月より他業種から介護や障害福祉の職に就く人を支援する新たな制度を始めるとの報道がされております。コロナ禍で失業した人を中心に利用を目指すことが言われています。これまで専門学校での資格取得に対して費用負担を支援する取組も行ってきましたが、より一層充実した制度となることに期待をするところです。 そこで、この制度の周知や現状を踏まえた今後の対応について地域福祉部長に伺います。 現在、介護に従事する職員の方々は、新型コロナウイルス感染症の感染防止のために、日々緊張を強いられ、大変な苦労をしながら必要な介護サービスの提供に取り組まれています。今年度、国では、このような方々を慰労するため、昨年2月から6月までの間に介護職場に勤務した方に対し、1人当たり5万円または20万円を支給する交付金を設けました。介護人材を継続して確保していくためには、単発的な慰労金ではなく、介護報酬を改定し、職員の給与の増額ができるようにすることが必要だと考えます。 今回の介護報酬の改定について、介護人材の確保の面からどのように評価しているのか、地域福祉部長に伺います。 全産業の平均と比べて介護職の収入が少ないため、消費税の引上げによる財源を確保し、昨年度新たに創設されました介護職員等特定処遇改善加算の取得率についても、国の資料では、昨年8月の高知県の取得率は48.6%、一方、全国は65.9%となっており、現在本県は、全国と比べかなり低くなっています。 コロナ禍において、ますます厳しさを増す介護人材の確保に向けて、取得率の低い要因を分析し、必要があれば国にも改善の要望を行うとともに、事業への働きかけを強化するなど、加算の取得による給与の改善にどのように取り組んでいくのか、地域福祉部長に伺います。 次に、国民健康保険について質問をします。 国民皆保険制度の重要な基盤であるにもかかわらず、被保険の年齢構成が高いことから医療費水準が高く、一方で、低所得の方が多く加入していることから保険料負担が重いといった、構造的な課題を有している国保の財政運営の安定を図り、持続可能性を高めるために、都道府県が財政運営の責任主体となる新たな国保制度が開始をされて3年が経過をしました。 そこで、この3年間の実績を踏まえ、今回の制度改革が国保制度の安定につながっているかどうか、また公費負担の拡充が十分であったかどうかも含め、現時点における評価について知事に伺います。 さて、来年度からの新しい国保運営方針が昨年末に策定をされましたが、この中において、現在行われている制度改革により、被保険の保険料が制度改革前を大きく上昇しないよう、市町村が県に納める国保事業費納付金の激変緩和措置が、3年間で段階的に廃止されることとされております。この廃止により、市町村によっては納付金が大幅に増加することになり、保険料が大きく上昇することが危惧されます。 被保険の理解を得られるためにも、保険料負担の上昇を緩和する取組が必要ではないかと思いますが、健康政策部長に伺います。 一方、保険料については、この運営方針において、保険料水準の統一に向けた議論を行い、令和5年6月までに結論を得るとされております。保険料水準とは何を指すのか具体的に明らかとはなっておりませんが、このことは、これからの市町村との協議において重要な前提になると思います。 例えば、保険料として確保する必要がある、いわゆる1人当たり保険料収納必要額を示すのか、あるいは被保険の所得水準や保険料の収納率も影響してくる保険料・税率の一本までを想定しているのか、健康政策部長に伺います。 また、新たな運営方針には、被保険から見た場合には、保険給付が全国共通の制度であるにもかかわらず、保険料水準は各市町村ごとに異なっており、保険料負担に不公平が生じていますと書かれています。 制度改革により、都道府県は国保財政の責任主体として保険となりましたが、市町村は引き続き被保険にとって身近な保険であります。保険制度において、保険料は保険ごとの保険給付などに見合ったものでなければ、被保険の保険料負担への理解はなかなか得られないと思います。 本県の市町村ごとの年齢調整後の医療費は、毎年1.5倍程度の差があります。また、被保険の健康づくりへの取組においても、特定健診の受診率で2.5倍程度の差があります。さらに、各市町村の様々な経営努力に対し、インセンティブとして交付される保険努力支援制度の1人当たりの交付額でも2倍程度の格差があります。被保険にとっては、保険は、まだまだ県よりも身近な市町村だと思います。 このように市町村ごとの状況が違う中で、保険料水準を統一するために最も重要である被保険の理解を得るために、医療費水準の平準や、国保は高知県全体で支えていくという県民意識の醸成も含め、今後どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 また、保険料水準を統一するための理由として、小規模保険において高額な医療費が発生した場合の保険料への影響を挙げております。しかし、今後ますます少子や過疎の影響で、極端に小規模な保険が増加することが想定をされます。この場合、給付金の仕組みにより保険料負担への影響を緩和できたとしても、被保険の資格管理、保険料の賦課徴収、保険給付、医療費適正への取組など年々複雑多様し、また増大する保険機能が十分果たせるかどうかも考えていく必要があると思います。 そこで、小規模な保険が保険機能をきちんと果たしていくために必要となる支援について、市町村と検討していくべきではないかと思いますが、健康政策部長に伺います。 また、国保制度改革において、現在の新たな仕組みとなるまでに、国と地方とで様々な議論があったようでありますが、国保基盤強化協議会の平成27年2月の議論の取りまとめにおいても、国保の在り方について不断の検証を行うことが重要とされております。 このことからも、極端に小規模な保険が増加していく中で、将来にわたり国民皆保険制度を維持していくためには国保制度がどうあるべきか、保険機能の在り方について国と地方で率直に検討していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、糖尿病の重症予防について質問をします。 昨年2月議会でも質問しましたが、医療費の適正の上でも、重症予防の対策は重要であります。健診結果やレセプトからのデータ分析で得られた情報は、地域において行政と医療関係が共有し効果的に活用されてこそ、糖尿病の重症予防の取組が促進され、意義あるものになると考えます。 今後、高齢が進む中、ますます医療費が増大することが見込まれますが、県が主導して県内の糖尿病対策をしっかり行っていくことが人工透析患者を減らしていくことにつながります。また、新型コロナ感染症から県民の命を守る観点からも、糖尿病治療を放置している方たちを医療につなげる受診勧奨はとても大事な取組であります。その結果として、健康寿命の延伸や医療費の適正が図れると思いますので、しっかりと取組を進めていただきたいと思います。 そこで、本県の糖尿病の患者数及び医療費、透析患者数、透析にかかった医療費、また糖尿病が原因で透析になった割合について健康政策部長に伺います。 また、県下全体で糖尿病の重症予防を推進するためには、実施主体となる市町村が取り組みやすい環境整備が必要であります。昨年の2月議会において、過去5年間のレセプトデータを用いて糖尿病の重症予防を行えるよう、支援体制を強化すべきではないかと提案をしました。 その際、健康政策部長からは、何年間のデータを蓄積するかは決まっておらず、5年間の期間も含め、関係や他県の事例も参考にして蓄積するデータの期間を検討するとの答弁がありましたが、その後の検討状況はどうか、健康政策部長に伺います。 また、本年度から民間事業への委託やシステム構築等への対応が可能となるよう、県が市町村を支援する都道府県国保ヘルスアップ支援事業の交付上限額も大幅に拡充されており、各都道府県において様々な取組が進められています。広島県では、糖尿病の治療中断受診勧奨業務を民間業者に委託し、大半の市町村が参加されているようであります。大分県では、今年度よりモデル市町村5か所を選定して、特定健診及びレセプト5年間の結果から糖尿病治療中断を抽出し、約1,100人に対して受診勧奨通知を送付し、医療機関の受診が確認できない場合は2回目の受診勧奨を行っているとのことであります。 本県でも、国保ヘルスアップ支援事業として、糖尿病性腎症の重症が進んでいる方に対して、昨年10月から新たに全国でも珍しい取組として、人工透析導入時期を少しでも遅らせる取組が実施されております。さらには、糖尿病性腎症重症予防プログラムの取組を推進するため、昨年度から新たに市町村に対して、糖尿病看護の専門家等をアドバイザーとして派遣しております。 そこで、現在取り組んでいる国保ヘルスアップ支援事業の現状や課題はどうか、健康政策部長に伺います。 次に、土木行政について質問をいたします。 土木部では、平成30年から、国の「防災・減災、国土強靱のための3か年緊急対策」によって、南海トラフ地震対策や豪雨等災害対策の効率的な実施を図られております。また、昨年12月には、国により新たに「防災・減災、国土強靱のための5か年加速対策」が決定をされ、甚大する自然災害への対策のほか、新たに予防保全的な老朽対策などを柱に加えて、国土強靱の取組を継続していくこととされています。本県としても、引き続き中長期的な視点に立って防災・減災のインフラ整備を進めていく必要があると考えています。 そこで、これまでの3か年緊急対策の総括と、5か年加速対策を含む今後のインフラ整備の取組について土木部長に伺います。 昨年2月議会において、公共工事を円滑に遂行していくためには、適切な発注、監督や検査、工事受注の適正な評価を行うことが重要である、また土木技術職員のマンパワー不足による影響で発注の遅れなどが懸念され、災害が起きた後の迅速な対応が困難になるのではないかとの指摘をさせていただきました。 その際、土木部長から、発注支援制度を本年度試行し、運用を拡大していくとの答弁がありましたが、発注支援制度などマンパワー不足への対応について現在の取組状況を、土木部長に伺いまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 黒岩議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルスワクチンの接種につきましてお尋ねがございました。 議員から御指摘ございましたように、開発間もないワクチンに対しまして多くの人が不安を感じるというのは、当然のことだと存じます。一般的に、ワクチンの接種後には、一定の副反応が生じる可能性があると言われているところであります。現にファイザー製のワクチンでも、その説明書には主な副反応として、注射した部分の痛み、頭痛、関節や筋肉の痛みなどが明示をされております。また、まれに起こる重大な副反応としてショックやアナフィラキシー、いわゆる激しいアレルギー反応のことでございますが、こうしたものがあるというふうにしております。 県といたしましては、既に行われております先行接種におけます副反応の状況も含めまして、こうしたデメリットも正確にお伝えをしながら、ワクチンのメリットもしっかりとお伝えをしてまいります。また、県では、3月中旬をめどといたしまして、接種後の副反応を疑う症状についての電話相談窓口を設置することといたしております。あわせまして、アナフィラキシーへの対応につきましても必要な応急対応ができますように、市町村と連携をいたしまして、接種会場への救急処置用品の配置、あるいは、もしものときの救急搬送体制の確保など、準備に万全を期してまいります。 それぞれ、このような体制をしっかりと整えまして、ワクチン接種を希望される方が安心して接種を受けられるように取り組んでまいります。他方で、職場などで周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人が差別的な扱いをされることがないような啓発も行ってまいります。 次に、産業振興計画を進める上での本県の経済動向の現状認識はどうかというお尋ねがございました。 昨年3月末以降の全国的な感染拡大に伴いまして、本県の経済は、観光関連産業をはじめといたしまして、飲食業や第1次産業など様々な分野で大きな打撃を受けております。その後、国の経済対策などによりまして、一部に持ち直しの動きは見られましたものの、第3波の感染拡大によります国のGo To事業の停止あるいは飲食店などへの営業時間の短縮要請などによりまして、年末からは再び厳しい状況が続いているところであります。特に、飲食業や旅館、ホテルに関して申しますと、書き入れどきの年末年始にキャンセルが相次いだために経営が悪化するとともに、その取引事業にも影響が広がっているという状況にございます。 また、有効求人倍率につきましては、昨年5月に、4年8か月ぶりに1.0を切りまして、その後12月には再び1.0を上回るなど、一定回復の傾向にはございますけれども、コロナの感染拡大前の水準までには、まだ回復していないという状況であります。さらに、コロナ関連倒産は、他県に比べて著しく少ないとは言いましても、先行きへの不安から、昨年度と比べまして、休廃業の相談件数は急増しているというような状況にございます。 こうした状況に対しまして、時期を逸することなく様々な対策を講じてまいりましたが、今なお感染の収束が見通せない中で、今後の経済動向は不透明感の強いものとなっております。感染症の影響によりまして、産業振興計画を通じて築き上げてまいりました地産外商、観光など、県外、海外から外貨を獲得してきた取組は、少なからず制約を受けております。このため、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えつつ、今後も引き続き強い危機感を持ちまして取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 次に、産業振興計画に掲げた戦略の方向性に対する思いについてお尋ねがございました。 本県経済は、人口減少に伴って縮む経済から、人口減少下においても拡大する経済へと構造を転じつつある段階にあるというふうに認識をしております。これは、産業振興計画などを通じまして、労働生産性や付加価値を高め、それを武器に県外、さらには海外へと打って出ます地産外商を官民挙げて進めてきたことの成果であるというふうに考えております。 今後も人口減少が避けられない中で、この拡大傾向を維持するためには、これまで以上に付加価値や労働生産性の高い産業を育むことが重要であります。この点を、第4期計画の戦略の方向性として第一に掲げているところであります。 本県の人口の社会減は、一定の改善傾向にはございますが、まだまだ若者を中心に県外流出が続いておるところでございます。これを克服するためには、若者が魅力を感じるような仕事の創出が重要でありまして、そのためにも付加価値や労働生産性の高い産業の育成に全力で取り組まなければならないという思いでおります。 次に、今回新たに戦略の方向性として位置づけましたウイズコロナ・アフターコロナ時代への対応は、感染症により大きな影響を受けました県経済を再び成長軌道に乗せるための喫緊の課題となります。今回の計画のバージョンアップにおきましては、この方向性に基づきまして、新しい生活様式や社会・経済構造の変化への対応ですとか、地方への新しいひとの流れを呼び込むための取組の強化を図ってまいることといたしております。 また、これら2つの方向性に共通いたしますデジタルは、非対面、非接触の活動の広がりといいました社会構造の変化に対応いたしますとともに、付加価値や労働生産性の向上が期待できるツールとなります。このため、産業振興計画の重要な柱として位置づけまして、大幅な強化を図ってまいります。あわせまして、持続可能な地域社会づくりに向けまして、脱炭素、SDGsを目指した取組も促進をしてまいります。 こうした取組をスピード感を持って展開してまいりますことで、ウイズコロナ、アフターコロナの時代において成長し続ける県経済の実現を目指してまいります。 次に、雇用対策の充実に向けました思いについてお尋ねがございました。 県では、厳しい雇用情勢などに対処いたしまして、働く場の確保、創出を効果的かつ円滑に進めるために、平成19年に雇用対策本部を設置いたしております。これまで、この本部の下で、経済の活性をはじめとする基本政策や横断的な政策の展開によりまして、各分野におきまして魅力ある仕事の創出、そして働く場の確保に努めてまいりました。 先月開催いたしました本年度の本部会議におきましては、労働局長をお迎えいたしまして、本県の雇用失業情勢、国の労働施策の説明を受けますとともに、次年度におけます県の雇用対策の方針を決定いたしたところでございます。 現在、本県経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、幅広い業種が大きな打撃を受けまして、厳しい状況にあります。このことを踏まえまして、第1に雇用を守る、第2に雇用の回復を図る、第3に県経済の循環を高めるという、段階を意識した方針をお示ししたところであります。 来年度も厳しい状況が想定をされますことから、引き続き国と密に連携をしながら、時宜を得た経済影響対策、各産業分野におけます施策を実行してまいります。このことによりまして、雇用対策の方針でございます魅力ある仕事の創出によりまして、県経済の好循環を生み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現を目指してまいります。 次に、桂浜水族館への支援についてお尋ねがございました。 議員のお話にもございましたように、本年1月に高知市で開かれました「濱田が参りました」、県民座談会でございますが、この場におきまして、私も直接館長さんから、水族館を応援してほしいという御趣旨のお話をいただいたところでございます。その中で、情報発信や環境教育の取組に加えまして、台湾や香港からのインバウンド誘致など、様々な熱意ある取組についてのお話をお聞かせいただきました。 この水族館が立地する桂浜公園を核といたします観光振興につきましては、県といたしましても、産業振興計画の地域アクションプランに位置づけまして支援をしていくことといたしております。この取組の主体となります高知市におかれましては、桂浜公園の整備基本計画を策定いたしまして、本年度から整備に着手を具体的にされているところであります。 具体的には、桂浜公園のにぎわいづくりに向けまして、まず観光案内所や遊歩道をはじめといたしまして、飲食や物販などの商業施設のリニューアルなどを進めることとされております。県におきましても、こうした取組に対しまして、財政的な支援を行うことといたしております。また、お尋ねがございました水族館につきましても、桂浜公園の中にありますことから、今後の在り方について検討がなされるというふうにお聞きをいたしております。 このため、県といたしましても、引き続き産業振興推進地域本部を中心に、高知市とも密接に連携をいたしまして、この桂浜のプロジェクトの後押しをしてまいる考えであります。その中で、今後水族館に関します企画の具体が進みましたら、この水族館がより魅力的な施設となりますように、その磨き上げをしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。 次に、高齢介護に対する思いや介護保険制度につきましてお尋ねがございました。 本県では、これまで、あったかふれあいセンターの整備でございますとか、中山間地域での介護サービスの確保といった全国に先駆けた独自の取組を進めてまいったことは、御指摘がありましたとおりでございます。今後とも、高齢介護の課題解決先進県といたしまして、全国の道しるべとなるような取組を積極的に展開してまいりたいと考えております。 介護保険制度につきましては、高齢の尊厳の保持を基本理念といたしまして、高齢の介護を社会全体で支え合う制度として広く定着、発展をしてまいりました。全国に先駆けて高齢が進んできた高知県にとりまして、これまで介護保険制度が果たしてきた役割は、高齢の生活を支える上で非常に大きく、重要なものであるというふうに評価をいたしております。 今後、健康寿命の延伸や暮らしの充実を通じまして、持続可能な社会保障制度の構築を進めていくためには、予防、健康、医療、介護などの各分野間のより一層の連携強化が求められることとなります。こうした中で、介護保険制度におきましても、介護予防やサービスの質の向上の取組を強化しながら、高齢と御家族を支える制度として、今後とも持続、発展すべきものというふうに考えております。 次に、第8期介護保険事業支援計画についてお尋ねがございました。 私といたしましては、在宅で療養をしたいと希望されている方々が、実際問題として、例えば御家庭の事情などで、入院や施設入所に頼らざるを得ないというような状況になっておられるのではないかというふうに感じておるところであります。そうした中で、在宅で療養していく上で何とかあと一押しの支援があれば、施設でなく在宅で頑張ってみようと思っていただけるような、そうした施策を展開いたしたいと考えているところであります。 このような思いから、今年度有識などによります高知県在宅療養推進懇談会を設置いたしまして、本県における在宅療養の推進に向けた新たな提案などもいただいたところであります。こうした御提案を踏まえまして、第8期介護保険事業支援計画及び高齢保健福祉計画におきましては、在宅療養の取組をしっかりと位置づけ、着実に前進をさせていきたいというふうに考えております。 具体的には、在宅生活を支えます小規模多機能型居宅介護の整備の促進や、医療や介護と連携をいたしました住まいの確保などに取り組んでまいります。加えまして、在宅医療に取り組みます医療機関に対する支援、あるいはオンラインによります在宅服薬の支援などにも、新たに取り組むことといたしております。 私といたしましては、地域で住み続けたいという希望がかなえられますように、在宅療養の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、より一層施策の充実強化を図りまして、全国に発信できる取組につなげてまいりたいと考えております。 次に、今回の国保制度改革に対します現時点での評価がどうかというお尋ねがございました。 今回の国保制度改革は、都道府県が財政運営の責任主体として、安定的な財政運営、効率的な事業の確保等の中心的な役割を担うことによりまして、国保制度の安定を目指したものであります。 県が、新たに共同保険となりまして、給付に必要な費用は、県から市町村に交付をする仕組みとなりました。また、国民健康保険財政安定基金が県に設置されまして、給付費の増や保険料の収納不足に対応することが可能となりまして、国保制度の安定につながっているものと考えております。 さらに、お尋ねがございました公費負担の拡充につきましては、都道府県に際しまして、毎年約3,400億円の巨額の公費が投入をされています。この公費の投入も、低所得の保険料の軽減でございますとか制度移行時の激変緩和措置に活用されておりまして、こうしたことを通じまして、国保の財政基盤の強化にもつながっているというふうに考えております。 こうしたことから、今回の国保制度改革につきましては、現時点では前向きに評価をいたしているところでございます。 他方で、国の審議会におけます議論の取りまとめにおきまして、いわゆる法定外繰入れなどの着実な解消、あるいは保険料水準の統一に向けた議論を進めるということが重要とされ、このことに関連いたしまして、国民健康保険法の改正を含めた対応が行われるということとされています。 県といたしましては、こうした国の動きを注視いたしながら、引き続き国保制度の持続可能性を高めまして、安定的な財政運営や効率的な事業の確保などを目指した取組を進めてまいります。 次に、保険料水準を統一するための被保険の理解を得る取組についてお尋ねがございました。 議員のお話にもございましたように、昨年12月に策定いたしました第2期国民健康保険運営方針におきましては、今後保険料水準の統一に向けた議論を行いまして、令和5年6月までに結論を得ることといたしております。 これから、まずは保険であります市町村としっかり議論を行ってまいりますが、保険料水準の統一に向けましては、御指摘もございましたとおり、被保険の理解を得ることが極めて重要なポイントとなります。そのため、議論の過程につきまして、節目節目でホームページなどを通じて、被保険を含め県民の皆様に対しまして情報提供をしっかりと行ってまいります。 その上で、仮に保険料水準を統一するという方向性でまとまりましたら、市町村と一緒になりまして、被保険に対して、統一の意義や必要性、あるいは保険料の見通しなどについて丁寧に説明を行ってまいります。 最後に、国民皆保険制度を維持していくための国と地方での検討についてお尋ねがございました。 今後、本県をはじめといたしまして、地方の多くでは国保の被保険が著しく減少いたしまして、小規模な保険が増加をしていくことが見込まれます。しかし、そうした中におきましても、国民健康保険制度は国民皆保険の最後のとりででございまして、将来にわたって安定的に運営されなければならないところであります。 このため、全国知事会におきましては、平成27年2月の国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議の議論の取りまとめを受けまして、1つには、財政基盤の強化に向けて、国保の安定的な運営の可否について十分に検証すること、そして第2に、運営の在り方の見直しにつきまして、新たな制度の実施状況を十分に検証した上で、必要に応じて事務運営の改善を図ることを基本とすること、との声明を発出いたしているところであります。 本県といたしましても、引き続き都道府県後の市町村国保の財政状況あるいは運営状況などを検証いたしながら、国と地方で協議をする場が、ただいま申しましたようにございますので、そうした場などを通じまして、率直な意見交換を行ってまいります。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、高校生が卒業後に県内にとどまるための、この5年間の取組状況や課題についてお尋ねがございました。 平成27年度の県内大学の入学定員に占める現役の県内公立高校生の割合は20%、386人で、県内大学の情報が高校生に十分に知られていないなどの課題がございました。このため、県内大学入学定員数に占める県内公立高校卒業の割合を25%以上とする目標を掲げて取り組んでまいりました。 例えば、大学進学講座の実施など学力向上の取組に加え、県内大学との高大連携事業を通して大学への理解を深める取組や、生徒の進学意識を高めるための大学進学チャレンジセミナーなどを行ってまいりました。この結果、令和元年度の県内大学入学定員数に占める県内公立高校卒業の割合は県内私立大学も含めて23.8%、528人となっております。 一方、県内企業の理解促進の取組については、将来の生徒の進路選択の参考とするため、平成30年度から、全ての公立高校で地域の産業や文化等を学習する活動を、総合的な探究の時間などで開始しております。また、9割を超える公立高校では企業見学やインターンシップを実施し、インターンシップ参加は平成27年度の491名から、昨年度は936名に増加をしております。さらに、平成28年度から参加を始めましたものづくり総合技術展には、昨年度は普通科の生徒も含め2,000人以上が参加をしまして、ほとんどの生徒が県内のものづくり企業を初めて知る絶好の機会ということになっております。 こうした成果の一つとしまして、公立高校の就職の県内割合は年々増加をし、就職希望のうち県内就職の割合が、平成27年度の63.9%から、本年度は1月末の時点で既に70%以上となっております。 今後も、これまでの事業の充実に加えまして、学校が企業や大学と連携した地域課題解決学習等を推進し、郷土への愛着と誇りを育み、県内の大学や企業に進学、就職する生徒が増加するように取り組んでまいります。 次に、これまでの就職氷河期世代への取組状況や課題についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、就職氷河期世代の長期間無業状態やひきこもり傾向にある方を対象に、県内3か所の若者サポートステーションと2か所のサテライトにおいて、昨年10月以降本格的に就労・修学支援を開始いたしました。 具体的な取組としましては、まず若者サポートステーションの存在や活動について、ウェブ広告や市町村と連携したチラシによる情報発信を行ってまいりました。また、若者サポートステーションやサテライトが設置されていない市町村では、出張相談会の開催とその広報等について各市町村の協力を得ながら、それぞれで順次開催をしております。若者サポートステーションでは、利用の就労等の悩みをお聞きする個別面談や、コミュニケーションスキルやソーシャルスキルを学ぶセミナーを実施しております。また、職場体験の協力事業所の開拓なども行ってまいりました。 本年1月末までの3か月余りの取組の結果、45件の相談をお受けし、うち11名から支援を希望する登録がありました。そのうちの1名と、昨年10月以前から継続して支援してきました3名を合わせました4名が、農業や卸売業などに就職をしております。 課題としましては、若者サポートステーションの存在や活動をより一層周知し、一人でも多くの方を支援につなげることだと考えております。そのためには、県や市町村の福祉部門との連携が重要となりますので、市町村の担当会などの場を活用しまして、事業の周知と連携の強化を図ってまいります。また、出張相談会も引き続き実施するとともに、ウェブ広告の運用改善などを行い、支援対象へのアプローチをより効果的に行ってまいります。 今後とも、一人一人に応じた丁寧な支援を提供する中で、職場体験の実施も促しながら、就業に向けた取組を進めてまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 県内の大学の卒業生に関し、大学別、県内外の出身別の県内外への就職の割合についてお尋ねがございました。 昨年3月の卒業生につきましては、高知大学では、県内出身の就職先は、県内が70%で145人、県外が30%で63人、他方、県外出身の就職先は、県内が15%で97人、県外が85%で542人となっております。同じく高知県立大学では、県内出身の就職先は、県内が78%で98人、県外が22%で27人、県外出身は、県内が13%で23人、県外が87%で148人となっております。同じく高知工科大学では、県内出身の就職先は、県内が45%で40人、県外が55%で48人、県外出身は、県内が4%で11人、県外が96%で246人となっております。 いずれの大学におきましても、ここ数年若干の数値の増減はありますものの、ほぼ同様の割合で推移しております。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、県外大学等に進学した学生のUターン就職支援についてお尋ねがございました。 本県においては、これまで就活準備セミナーの開催や、県内インターンシップ実施企業の掘り起こしや実施プログラムの磨き上げ、また就職支援協定大学の発掘や、協定大学と連携した情報発信などに取り組んできたところです。 これらにより、インターンシップ実施企業数や県の学生向け就職支援ホームページの閲覧数は増加し、就職支援協定を締結している大学も31校と、令和に入って7校増となっております。こうした結果、令和2年3月卒業学生のUターン就職率は18.6%と、5年前と比べて2.7ポイント増加し、一定の成果として現れているところであります。 しかしながら、産業振興計画で定めている令和5年度の目標35%の達成に向けては、新型コロナウイルス感染症の拡大による就職活動のオンラインの加速など、就職を取り巻く環境の変化などにも対応し、対策をさらに強化していかなければならないと考えております。 このため、来年度は新たにオンライン上で企業と学生が交流できるイベントを開催してまいります。さらに、県外学生の県内でのインターンシップや就職活動を促進するため、交通費及び宿泊費に対する助成制度を創設してまいります。加えて、インターンシップから県内就職まで、学生に寄り添いながら伴走支援を行う就職支援コーディネーターも新たに配置してまいります。 こうした取組により、県外大学等に進学したより多くの学生の皆さんの県内就職につなげてまいります。 次に、高知労働局との雇用対策協定に基づく事業計画の総括や今後の取組についてお尋ねがございました。 県は、労働局とそれぞれの強みを発揮し、相互連携の下、雇用施策を効果的、一体的に実施するため、平成26年7月に高知県雇用対策協定を締結いたしました。この協定に基づき、県の関係課と労働局で設置しております高知県雇用対策協定運営協議会において、双方で連携して取り組む項目や数値目標を盛り込んだ事業計画を毎年策定し、その進捗管理を行っております。 本年1月に開催した運営協議会では、令和2年度の事業計画の中間実績の報告とその評価、検証を行うとともに、令和3年度の事業計画を策定したところです。例えば、高知県ワークライフバランス推進認証企業数については、育児休暇・育児休業取得促進宣言企業などを中心に企業訪問を展開した結果、目標である377社に対して、昨年11月末時点で419社と着実に増やすことができています。一方、ジョブカフェこうちでは、就職支援計画書を作成した求職の6か月以内の就職率70%以上という目標に対して65.2%と、若干下回っております。これは、新型コロナウイルス感染症拡大防止による窓口業務の停止などが影響したものです。 このように、毎年設定した事業計画に対し、PDCAをしっかりと回しながら取り組んでいるところであります。今後も、コロナ禍においても、双方の取組が効果的なものとなるよう、一層の連携を深めてまいります。 次に、改正高年齢雇用安定法の施行も踏まえた本県の現状と課題等についてお尋ねがございました。 本県における65歳以上の高年齢の割合は、平成30年においては35.4%と、全国の28.9%と比べて高い割合になっております。また、15歳以上の労働力人口のうち、65歳以上の割合は、平成27年国勢調査によると16.5%と、こちらも全国の12.6%を上回っている状況であります。このように、本県においては、高年齢の皆様が産業を支える貴重な人材となっているところであります。 しかしながら、本年1月に高知労働局が発表しました高年齢の雇用状況の集計結果を見ても、希望全員が66歳以上働ける制度のある企業割合は30.8%と、全国の33.4%と比べて低い状況にあり、その拡大が課題となっております。このため県においては、関係団体等から成る生涯現役促進地域連携協議会において、年齢に関わりなく働き続けられる仕組みづくりに向け、生涯現役促進地域連携事業を実施してきたところです。 これまでの取組によりまして、高年齢の方が活躍するためには、企業側は高年齢の能力や経験を生かせる業務の切り出しを行い就業機会を創出すること、高年齢側はどういった仕事があり、どのような仕事が向いているのかを理解しスキルアップを図ることが必要であること、その上で企業、高年齢の双方のニーズを踏まえたマッチングが重要であるということといった課題が明らかになっています。こうした中、改正高年齢雇用安定法が施行され、70歳までの就業確保措置が努力義務となりますことは、本県の高年齢の一層の活躍に寄与するものと考えております。 今後は、法の施行を追い風として関係機関と連携しながら、さきの課題に対応していくことで、働く意欲のある高年齢がその能力を十分発揮し活躍できる社会の実現に向けて取り組んでまいります。 最後に、これまでの就職氷河期世代への取組状況や課題についてお尋ねがございました。 就職氷河期世代の活躍支援につきましては、昨年内閣府の地域就職氷河期世代支援加速交付金の事業採択を受け、当該世代を対象としたジョブカフェこうちの支援体制の充実強化を図るほか、インターネットを活用した実態調査を実施したところです。 まず、ジョブカフェこうちにおいては、就職までに一定の時間を要する方に対し、新たに自尊心の形成などを目的としたグループワークや、複数の事業所での仕事体験を積み重ねるジョブチャレンジを、昨年秋から実施しているところです。これまで、グループワークには延べ8名の方が、ジョブチャレンジには延べ3名の方が参加されました。まだ就職には至っておりませんが、就職に前向きな意識が芽生えつつあると伺っています。 また、インターネットを活用した実態調査では、国や地方自治体が実施する就職氷河期世代の支援に力を入れていることを、あまり知らない、または全く知らないと回答した割合が約6割となっておりまして、一層の周知、広報が必要であるといった課題などが明らかとなっています。 こうした進捗状況や課題、情報などについては、こうち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおいて共有し、課題解決に向けて、連携して取り組んでまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 移住促進に関する来年度の目標達成に向けた取組についてお尋ねがございました。 今年度の移住数は、感染症の影響を受けて対面での移住相談やイベントの開催が困難となり、先月末時点で対前年同期比93%にとどまっておりますことから、目標であります1,075組の達成は厳しい状況にあるというふうに考えております。しかしながら、議員のお話にもありましたように、コロナ禍を契機に、都市部に住む人々の間で地方暮らしへの関心が確実に高まっておりまして、今後地方への新しい人の流れが生まれるものと期待されますことから、4つのポイントにより取組を強化してまいります。 まず1点目は、ターゲットへの戦略的なアプローチであります。コロナ禍を契機に地方移住を検討される方の多くは、都市部から比較的近い地域を選ぶ傾向にあり、本県のように都市部から離れた地方では、地元出身や関係人口などのゆかりのある方、さらには場所を選ばない働き方が可能な方などがターゲットになると考えられます。そのため、関係人口へのアプローチを強化しますとともに、ターゲット別の効果的な情報発信や、オンラインのみならず対面を組み合わせた、いわゆるハイブリッド型の相談会を実施してまいります。また、高知市中心部に整備中のシェアオフィス拠点施設などを活用し、都市部企業のサテライトオフィスや地方でテレワークを実践する方を、本県に呼び込んでまいります。 2点目は、新たな相談・誘導の仕組みの構築であります。オンラインセミナーへの参加やウェブサイトにアクセスされる方の中には、移住意識がさほど高くない方もいらっしゃいます。そのため、本県の強みであります移住・交流コンシェルジュによるフォローアップをさらに強化することで、こうした方々を着実に対面相談、そして移住へと誘導してまいります。 3点目は、魅力的な仕事と住宅の充実であります。兼業や副業といった新たな仕事のニーズを掘り起こして、都市部の方々に情報発信を行ってまいります。また、移住や地域おこし協力隊が起業するケースも増えてまいりましたので、こうした取組が広がりますよう、サポートを強化してまいります。 4点目は、Uターン促進策の強化であります。コロナ禍を契機に、地元へのUターンを検討する方が増えてくるものと考えられますので、Uターンに特した相談会を開催するなど、本県出身へのアプローチをさらに強化いたします。 こうした一連の強化策をスピード感を持って進めますことで、年間移住数1,150組を目指したいと考えております。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、これまでの就職氷河期世代への取組状況や課題についてお尋ねがございました。 就職氷河期世代におけるひきこもりの方の支援については、本年度実施しましたひきこもりに関する実態把握調査により、ひきこもりの方は、就職氷河期世代であります30代、40代が最も多いことや、相談につながらず潜在している世帯が多くいることが、改めて課題として浮き彫りになったところです。そのため、昨年10月から生活困窮の自立相談支援機関にアウトリーチ支援員を配置して、自ら支援を求められない方やその御家族を支援につなげる取組を進めております。 また、就職氷河期世代のひきこもりの方などについては、福祉から就労へのつなぎなど、個々の状況に応じたより幅広い支援が必要となります。そのため、保健・医療・福祉・就労分野などの多機関から成る市町村プラットフォームを構築した上で、個別ケースの具体的な支援策の検討などを行うことが重要と考えています。 現在、市町村では、既存の福祉分野の会議体などを活用して、プラットフォームの設置に向けた取組が進められており、県では、ブロック別の勉強会や事例検討会を開催するなど取組を支援しているところです。加えて、ひきこもり地域支援センターにおける個別ケース検討会への専門的な助言なども行っております。 また、ひきこもりの方などの就労に向けた支援に当たっては、本人の意欲につながる仕組みづくりが必要です。そのため、来年度から就労体験などに参加する場合に交通手当を支給するインセンティブ制度を創設し、支援の充実を図ってまいります。 次に、中山間地域介護サービス確保対策事業についてお尋ねがございました。 本県では、平成23年度から市町村と連携して、中山間地域における介護サービスを確保するため、遠隔地の利用にサービスを提供した事業に対して介護報酬の上乗せ補助を行う、独自の支援措置に取り組んできました。平成25年度からは、小規模多機能型居宅介護も補助の対象とするなど、事業の拡充を図ってきたところです。 本年度は、21市町村が事業を実施しており、令和元年度の実績では、サービスの利用が976人で、132の事業補助対象となっており、いずれも制度開始から約2倍に増加をしています。また、サービス提供地域や営業日が拡大するとともに、介護職員などの雇用の増加にもつながるなど、利用と事業の双方に効果が現れています。 こうした中で、令和3年度からの介護報酬の改定では、これまで中山間地域等でサービスを提供した場合に報酬加算される特別地域加算の対象となっていなかった小規模多機能型居宅介護などが、新たに対象に加えられることとなりました。これは、本県のこれまでの先駆的な取組が一定反映されたものと考えています。 県としましては、今後とも市町村や事業の御意見をお聞きするとともに、中山間地域の実情も踏まえ、中山間地域介護サービス確保対策事業の拡充に向けて検討してまいりたいと考えております。 次に、高齢向け住まいの整備についてお尋ねがございました。 本年度設置しました有識者等による高知県在宅療養推進懇談会において、本県における在宅療養の推進に向けた施策の提案などをいただいたところです。こうした御意見を踏まえて、今後市町村と連携を図りながら、中山間地域等において、医療や介護と連携した住まいの確保を進めてまいりたいと考えています。 具体的なイメージとしましては、例えば退院後に介護の問題などから直接自宅に帰ることが難しい方などを対象に、医療や在宅介護サービスを併設した住まいの整備を想定しています。この整備では、市町村が直接実施主体となることで、国の有利な事業が導入できること、また廃校舎などの既存施設を活用することによって市町村の負担を少なくし、低廉家賃で入居が可能な高齢向けの住まいの確保を実現しようとするものでございます。 令和3年度は、まずモデル的な取組として1か所の整備を目指してまいりますが、県内全域での取組となるよう、市町村とも連携を図りながら取組を進めてまいります。 次に、今後の介護人材の確保についてお尋ねがございました。 介護人材の需給見通しについては、現在策定中の第8期の介護保険事業支援計画では、団塊の世代が全て75歳以上となる令和7年度には、約1万5,750人が必要となる見込みです。一方、これまでの介護分野での新規就職数や離職数、転職数などを基に推計いたしますと、約1万5,200人の確保にとどまるという結果となり、550人程度の人材が不足する見通しとなっております。このため県では、必要な介護人材を確保するため、人材の定着促進、離職防止や、新たな人材の参入を一層進めていくこととしています。 具体的には、定着促進、離職防止では、ノーリフティングケアの一層の普及や、ICT等の導入促進による業務効率、福祉・介護事業所認証評価制度による魅力ある職場づくりを推進してまいります。また、新たな人材の参入では、介護職を目指す学生への支援に加え、新たに他業種からの介護への転職支援を行うとともに、介護未経験に対する入門的研修を拡充するなど、介護に参入する方の裾野の拡大を図ってまいります。 さらに、今後増加が期待される外国人介護人材については、今年度立ち上げた検討会で、就業後の学習支援には加え、高知を選んでもらうためのPRが必要という御意見をいただきました。このため、来年度は、高知の介護の強みであるノーリフティングケアや、食や自然といった高知の魅力を、関係団体と連携して海外に向けて積極的にPRしてまいりたいと考えております。 次に、他業種から介護等に就職する方への支援制度についてお尋ねがございました。 厚生労働省では来年度から、他業種から介護分野や障害分野の介護職に転職する人を支援するため、介護福祉士修学資金等貸付制度のメニューに、新たな貸付制度を追加することとしています。この制度は、他業種で働いていた方が初任研修などの一定の研修を修了し介護職に就く場合に、就職準備金として20万円までの貸付けが受けられ、2年間就業を継続することで返済が免除となる制度です。 介護職への転職の状況を見ますと、他業種からの転職が約3分を2を占めており、コロナ禍においては、さらに転職が増加することが予想されます。そのため県としては、この貸付制度を積極的に活用し、介護職への参入を促進していきたいと考えています。 制度の周知については、詳しい内容が分かり次第、ホームページやSNSを通じてPRするとともに、転職を考えている方の相談窓口であるハローワークや、初任研修を実施している民間事業などへも広く周知し、多くの方に活用されるよう取り組んでまいります。 次に、介護報酬改定の評価についてお尋ねがございました。 令和3年度の介護報酬の改定については、全体で0.7%のプラス改定となっています。今回の改定では、全てのサービスの基本報酬を引き上げることとされており、介護職員の人材確保や処遇改善にも配慮しつつ、物価動向による物件費への影響など、介護事業の経営をめぐる状況を踏まえたものとなっています。 加えて、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な措置として、令和3年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せされることとなっております。また、この上乗せ部分については、10月以降の感染状況などによっては延長される可能性も示されております。 このほかにも、見守り機器を導入した場合の夜間の人員配置の緩和など、デジタルによる業務負担の軽減なども考慮されており、喫緊、重要な課題であります介護人材の確保対策の強化を図る報酬改定であると受け止めております。 今後も、報酬改定後の状況を注視してまいりますとともに、必要に応じて介護人材の確保策の充実等について、全国知事会とも連携して国に提言してまいりたいと考えています。 最後に、介護職員等特定処遇改善加算についてお尋ねがございました。 県としましては、より多くの事業所がこの制度を活用し、職員の処遇改善につなげていただきたいと考えております。未取得の法人に対しては、これまで個別に要因をお聞きした上で取得を促してまいりましたが、全国に比べて低い取得率となっています。加算を取得していない事業所からは、介護職員とその他の職員の給与体系のバランスを取ることが難しいことや、制度が複雑で分かりにくいといった声をお聞きしているところです。 こうした中、来年度からの報酬改定では、加算による賃金改善額の配分ルールの見直しが行われ、より多くの職員に配分できるよう要件の弾力が図られています。また、算定区分についても、5段階から3段階への見直しによる簡素が行われています。 このように、今回の報酬改定では、加算の取得促進に向けた見直しが行われておりますので、報酬改定の説明会や介護事業所認証評価制度支援セミナーなどで積極的な活用を呼びかけてまいります。あわせて、加算の新規取得や上位区分への移行を考える法人に対して、社会保険労務士などから助言・指導を受けるための費用を支援するなど、引き続き個別の支援も行ってまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、国保事業費納付金の激変緩和措置の段階的な廃止に伴う保険料負担の緩和の必要性についてお尋ねがございました。 平成30年度の国保制度改革に伴い、市町村がそれぞれ保険料を算出する仕組みから、県が全体の医療費と公費等を見込んだ上で、市町村ごとに割り振る納付金を基に市町村が算定するという仕組みになりました。現行の激変緩和措置につきましては、このことによる保険料の急激な上昇を抑えるために設けられたものです。 この激変緩和措置は、その財源を国が期限を定めている公費などに頼っていることや、納付金算定の仕組みの導入による被保険負担の急激な増加を抑制するという、当初の目的が一定達成をされたことから、市町村と協議の上、廃止することといたしました。しかしながら、いきなり廃止をしてしまうと、これまで激変緩和措置を受けていた市町村においては、被保険1人当たりの保険料負担が急増してしまうことが見込まれますので、お話にありましたように、3年間で段階的に廃止をすることとしています。 県としましては、この激変緩和措置の廃止に伴って、最終的に1人当たりの保険料負担が増加してしまうこと自体はやむを得ないものと考えています。一方、保険給付費が増加し、今後1人当たりの保険料負担は増加していく見通しであることから、むしろ年度間の変動をできるだけ抑制しながら、保険料負担を緩和する取組が必要だと考えています。 そのため、市町村と協議の上、決算剰余金等を活用して、毎年度の納付金の水準を可能な限り急増させない仕組みを構築するなど、保険料負担の平準を目指してまいります。 次に、保険料水準とは何を指すのかとのお尋ねがございました。 議員からお話のありました1人当たり保険料収納必要額か、保険料・税率かで言えば、被保険ごとで異なる所得水準などを考慮して決まる、後者を前提としています。 被保険間での公平性を確保する観点から、県内のどこに住んでいても、同じ所得、同じ世帯構成であれば同じ保険料となるよう、保険料・税率の一本を目指すことを市町村に提案し、今後議論を行っていくことにしております。 次に、小規模な保険が保険機能を果たしていくための支援についてお尋ねがございました。 市町村が担う国保の事務については、本県は小規模な保険が多いこともあり、これまでも被保険証の印刷や医療費通知などを国民健康保険連合会が一括して行うことにより、事務の効率に取り組んでまいりました。県も、被保険証ともなるマイナンバーカードの取得促進や、医療費適正に資する医薬品の重複・多剤通知などを行い、市町村の保険業務を支援してきたところでございます。 また、昨年12月に策定した第2期高知県国民健康保険運営方針では、被保険からの申請書等の様式の統一や市町村事務処理標準システムの導入など、市町村が担う事務の一層の広域、効率を支援していくこととしています。 この運営方針に沿った取組を進めつつ、引き続き市町村の実情も伺いながら、特に小規模な保険への支援の在り方について検討してまいりたいと考えています。 次に、本県の糖尿病や人工透析患者の現状についてお尋ねがありました。 一番最近の数値ということで、元データの時期はそれぞれ異なりますが、まず糖尿病の患者については、国のレセプト情報・特定健診等情報データベース、いわゆるNDBの平成30年度のデータによりますと、本県で糖尿病の治療を受けた患者は約3万6,000人で、総医療費は103億円、患者1人当たりにすると約28万円となっています。 人工透析患者については、NDBでは把握ができず、日本透析医学会による調査になりますが、本県の令和元年12月末の透析患者数は2,583人で、このうち糖尿病性腎症を主要原疾患とする患者は896人で34.7%となっています。 なお、市町村国保と後期高齢医療の被保険に限られますが、令和元年度の国保データベースでは、透析治療を受けた患者は1,743人おり、年間医療費は約89億円、1人当たりの平均年間医療費は約511万円となっています。 次に、レセプトデータを蓄積する期間に関する検討状況についてお尋ねがございました。 まず、昨年の3月糖尿病性腎症重症予防プログラムの対象を抽出している国保連合会と協議を行い、少なくとも平成29年度以降、5年間分のデータを蓄積していくことについて合意をいたしました。 他方、来年度から新たに、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な循環器病の発症を予防する取組を開始する予定にしております。この取組では、モデル市町村において、5年間分のレセプトデータを用いて高血圧や高脂血症等の未治療や治療中断を抽出し、その人たちをグループ分けして、より効果的な受診勧奨を行います。 この取組の効果等も見た上でとなりますけれども、共に5年間のレセプトデータを用いることとして、脳卒中等の循環器病と糖尿病性腎症の重症予防の両方に対応した、統合的なプログラムに発展させることを検討してまいります。 最後に、現在取り組んでいる国保ヘルスアップ支援事業の取組状況や課題についてお尋ねがございました。 国保ヘルスアップ支援事業としての取組のうち、まず人工透析導入が数年後に予測される患者に対して、透析導入を少しでも遅らせる取組については、昨年9月にプログラムを作成し、46人の患者に対して、10月から県内3つのモデル地域で、医療機関と保険が連携して強力に保健指導を行っています。6か月を1クールとして介入効果の評価を行い、令和5年度まで療養支援を行うことによって、透析導入時期の遅延を図ってまいりたいと考えています。ただ、介入対象のさらなる確保が課題です。引き続き、医療機関に協力をお願いし、介入対象を追加するとともに、クールごとに介入評価を行い、一定の効果が見えましたら、モデル地域を拡大していくことを検討してまいります。 次に、糖尿病看護の専門家等をアドバイザーとして派遣する取組については、昨年度から市町村に対して糖尿病看護認定看護師など9名をアドバイザーとして派遣し、糖尿病治療に関する最新の知識をもって市町村保健師等に助言を行っています。実績としましては、昨年度は32回、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響があって24回となっています。未活用の市町村もあることが課題で、より多くの市町村に活用いただけるよう、事業の見直しも行いながら利用を促進し、保健指導の質の向上を図ってまいります。 国保ヘルスアップ支援事業としては、そのほか、市町村の集団健診において、1日の塩分摂取量の推定値を測定する取組なども行っております。こうした取組を通じて、糖尿病の重症予防対策など保健事業をさらに推進してまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、3か年緊急対策の総括と、5か年加速対策を含む今後のインフラ整備の取組についてお尋ねがございました。 土木部では、「防災・減災、国土強靱のための3か年緊急対策」を最大限に活用して、これまで総額400億円を超える緊急対策予算を確保し、県内のインフラ整備を推進してまいりました。例えば、河川のしゅんせつにつきましては、3か年緊急対策に加え、国が新たに創設した緊急浚渫推進事業も活用し、以前は年間を通じた予算が2億円程度であったところを、本年度は14億円確保し、対策を加速しているところです。 3か年緊急対策につきましては、本年度が最終年度であります。これまでの取組で、県内の防災・減災に資するインフラ整備が進んだとはいえ、継続的な整備を要する箇所はまだまだ多く残っております。発生確率が高まる南海トラフ地震や相次ぐ豪雨災害など、本県を取り巻く状況は厳しさを増していることからも、今後ともスピードを緩めることなく整備に取り組んでいかなければなりません。また、これまで整備してまいりましたインフラの老朽対策についても、引き続き計画的に取り組む必要がございます。 昨年12月、国において、3か年緊急対策の予算を上回る総額15兆円規模の5か年加速対策が取りまとめられました。土木部では、こうした国の動きも最大限に生かして、引き続き南海トラフ地震対策や豪雨災害対策など、県民の生命や財産を守る防災・減災対策を柱にして、県内のインフラ整備を加速してまいります。あわせて、中山間の1.5車線的道路整備など、地域の生活や産業を支えるインフラ整備にも全力で取り組んでまいります。 次に、土木技術職員のマンパワー不足に対する現在の取組状況についてお尋ねがございました。 土木部では、採用試験の応募の増加を図るため、大学や高校への就職説明会の実施やインターンシップの受入れ、中学生の職場体験の受入れなどに取り組んでおります。さらに、本年度からは、U・I・Jターン枠の採用試験を開始したところです。 また、円滑な事業執行を図るため、県の外郭団体である公益社団法人高知県建設技術公社に積算業務や現場監督業務を委託しているほか、本年度は高知土木事務所で民間コンサルタントによる発注支援制度を試行しているところです。現在、高知土木事務所には、十分な技術力と経験を有する民間コンサルタントの技術2名が駐在し、工事現場での立会いや資料作成などの補助業務を行っており、円滑な事業執行につながっております。 今後も、5か年加速対策により、事業量の多い状況が続きます。このため来年度は、民間コンサルタントによる発注支援制度の試行を6事務所に拡大してまいります。加えて、デジタルによる業務の効率を進めるとともに、採用試験の応募増加に向けてPRの強化を図るなど、土木技術職員のマンパワー不足解消にしっかりと取り組んでまいります。 ◆24番(黒岩正好君) それぞれ丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。第2問の質問をしたいと思います。 まず、商工労働部長、県外大学との就職支援協定、現在31校あるわけですが、私も過去神戸学院大学あるいは立命館大学へ訪問して、様々な就職支援の担当と懇談をしたことがございます。それぞれ高知県内の企業の様々な状況もよく御承知で、いかに高知県出身の皆さんをこの高知の企業に就職させるかとの思いというものが、非常に担当によってあったわけでありまして、非常に感動したことを覚えております。 たしか就職支援協定の調印の中にも、誠実に取り組んでいくということがあるわけでありますが、今後31校からさらに拡大していく予定なのかどうか。その辺りの考えと同時に、現在18.6%でありますが、35%の目標ということを掲げられているんです。これに対する取組の何か新たなものを考え、確かに旅費とか宿泊費を出していくということも言われておりましたが、どれぐらいの人数を考えているのか、その辺りも含めて、ちょっとお伺いしたいんです。 それから、地域福祉部長ですが、7期計画で、高知市の介護老人保健施設80床の整備計画が、応募がなくて廃止されております。これの主な原因はどういうものなのか、そしてその8期計画での整備計画の特徴的なものはどういうものなのか、お聞きをしたいと思います。 それと、土木部長ですが、3か年緊急対策の効果というのは、非常に我が県にとりましては、大きなものがあったと思います。私の家の近くの久万川の河床掘削、随分とこの3月末に向けて進んでいるということが明確に分かるような状況にもなっておりまして、容積量を拡大していくということで、非常にすばらしい効果が出ているかと思います。 そういうことで、こういった効果を生かして、5か年のがこれから始まるわけですけれども、具体的な実行計画をつくることも必要じゃないかなと思うわけであります。そういう意味で、もし計画を予定していないのであれば、5か年の実行計画を策定する思いがあるかどうか、そのこともお伺いをしたいと思います。 それから、健康政策部長ですが、非常に糖尿病の、また人工透析の数も多いわけですし、それから医療費も大変かかっているということで、さらにこの対策を進めていかなきゃなりませんけれども、昨年10月から非常に全国でも珍しい、遅らせる対策を進めておるわけであります。そういうことから、非常に努力されて、取組をされているわけでありますが、やはり糖尿病治療中断、これの幅を広げていって、その方々にいかに受診勧奨していくかということが非常に大切かと思います。その辺りの将来的な方向性を見据えて、しっかりと取り組んでいくことが大事なのではないかと思いますが、その辺りもう一点、御質問をしたいと思います。 以上で2問を終わります。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、協定大学のお話があったと思います。 私自身は、まだ一度もお会いしていないんですけれども、先ほど議員からもお話があったように、そういうような応援というか、その担当の方の思いも併せてやっていくことで、県内に就職し、帰ってくる確度が上がってくるというふうなことは十分あると思いますので、引き続き私としては、この大学の協定・発掘拡大はしていきたいと考えております。 それから、次の旅費等の支給の数字、すみません、具体的に今ちょっとここでは持っていないんですけれども、先行している県の事例とか実績も見る中で、それを超えるような数字での予算を今はしております。で、こういうふうな格好で高知県に帰ってくる学生さんを、実績も見ながら増やしていくことで、我々としては、35%も掲げていますので、しっかりとやっていきたいですし、もし足らなければ、さらなる対策も考えていきたいと考えております。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 第7期の計画におきまして、高知市で計画をしておりました介護老人保健施設の整備につきまして、151床が未整備という状況になってございます。これにつきましては、高知市が公募したものの、採算性などから応募がなかったということが原因でございまして、その背景にはやっぱり介護人材の確保の厳しさ、こういったものもあろうかと思います。次の8期の計画の際は、特定施設ということで位置づけて整備をしていく予定というふうに聞いております。 この第8期の介護保険事業支援計画の特徴といたしましては、在宅療養の推進というふうな観点で、小規模多機能型居宅介護あるいは看護小規模多機能型居宅介護、こういった在宅療養を支援するサービスの整備を重点的に進めていきたいというふうに考えております。例えば、小規模多機能型居宅介護であれば、今後3年間で10か所整備するというふうな計画にしております。 県としましては、8期計画で位置づけられた整備が着実に進みますように、介護人材の確保対策の強化策を講じながら、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 ◎土木部長(村田重雄君) 河床掘削についての5か年での具体的な計画というお話をいただきました。 河床掘削、先ほどの答弁でさせていただきましたけれども、これまで大変多く予算を投じて、対策が加速できたところでございます。かなり河床掘削進んだということで、いろいろなところから、そういうお声を聞いているところです。 ただ、今後非常に多くの予算が全体で確保できる想定ではありますけれども、県にどのぐらい実際来るかというのは、今後の取組--またたくさん確保していきたいというところではございますが、まだはっきり分からないところではございます。 今後、また年度年度で多少の変動というのもございまして、実際どのぐらいの河床変動が起こるかというところも見ながら、ただ一定の想定はさせていただきながら、計画的な実施となるように確認、検討して取り組んでまいりたいと考えております。 ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 今年度から生活習慣病を防ぐために、ポピュレーションアプローチに力を入れて取り組んでいるところですけれども、そこで導入しているのがナッジ理論と言われる、少し人々の背中をうまい言葉で押すような、そうした手法を取り入れております。また、先ほど答弁で申し上げましたとおり、来年度からは循環器病対策として新たに取組を進めていく予定としておりまして、そちらでもそうした手法をうまく活用したいというふうに考えております。 御指摘のありました糖尿病性腎症予防に関しても、一旦治療された方が中断していると非常にもったいない話ですので、そうした方が再び治療に導入していただけるような、そうした手法も導入しながら、できるだけ幅広く、そうした方が治療につながるように、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
    ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございました。 非常に大変なコロナ禍の中で、これから大きく攻めの1年にしていくという、知事の熱い熱い思いがあります。去年1年間を様々総括した上で、新年度の取組がされると思います。高知県の県民の皆さんが安心して、また安全な県政の取組による生活ができるように、どうか明年度も御尽力いただきまして、頑張っていただくようお願いを申し上げまして、一切の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。   午後0時1分休憩-----------------------------------   午後1時10分再開 ○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番大石宗君。   (25番大石宗君登壇) ◆25番(大石宗君) ただいま議長より発言のお許しをいただきました一燈立志の会、大石宗でございます。 今定例会は、世界を変えたと言っても過言ではない新型コロナウイルス感染症と向き合い続けた令和2年度の締めくくりの議会であると同時に、来る令和3年度の当初予算を審議する大変重要な節目の議会であります。こうした機会に登壇させていただけることをありがたく思うとともに、この間、コロナの影響を多く受けている医療従事の皆さん、そして県庁職員をはじめ行政関係の皆さん、そのほか、このコロナ禍という前代未聞の大災害を乗り越えようと、共に闘う全ての皆さんに感謝し、会派を代表して質問に入らせていただきます。 まず、知事の政治姿勢についてであります。 昨年11月、私自身も所属する高知商工会議所青年部主催で、濱田知事、そして尾崎正直前知事のお二人のリーダーシップ論をお伺いする研修会が開催され、様々な局面でのリーダーの在り方について、大変示唆に富むお話をいただいたところであります。その節は、知事、本当にありがとうございました。 激動の時代において組織を牽引するリーダーの姿勢が、組織の将来に大きな影響を与えることは論をまちません。そのような中、昨年は近代の世界的指導として名をはせた台湾の李登輝元総統がお亡くなりになりました。 李登輝元総統は、氏が尊敬していると公言されておられた坂本龍馬の研究なども通じて、我が高知県とも縁が深く、2009年には本県を訪れ、当時の尾崎知事のアテンドで桂浜などを散策、龍馬に関する講演を日本語で行うなど、県民に強い印象を残されたところであります。 私も、2010年の高知県からの訪問団に参加した際と2016年と、2度台湾でお話しさせていただく機会がありましたが、特に2010年のときは、高知県出身兵士とともにニューギニアで戦った台湾の高砂義勇隊の慰霊碑に土佐のお酒を持参して参拝したエピソードをお話しさせていただいたところ、その碑文を書いたのは自分であり、高知の兵士とともに戦った台湾兵士のことは、戦後の歴史に埋もれてしまったけれども、どうか忘れずにいてほしいと強く言われたことが深く印象に残っているところであります。 この李登輝元総統は、多くの著書を残されていますが、その最高傑作と言われるのが、2008年に出版された「最高指導の条件」です。日本の文化や感性、考え方を深く理解し、さらに東洋思想の研究でもあった李登輝元総統はこの本の中で、あるべき指導像について、日本の例も引きながら自身の考えを明らかにしていますが、その中で、どのような組織においても運命の成否を決める最大のものは、指導の素質と能力、そして誠意を持って民意を酌む、個々人の幸福のために長期的な計画を策定できる、組織全体の幸福と発展を実現できるという5つの要素であると述べられております。 私は、この文章を読み返しながら、昨年2月定例会で濱田知事にお伺いした目指すリーダー像において、知事が、県民の皆様と同じ目線に立って様々な御意見をたくさんお聞かせいただくこと、また職員の意見や悩みにも耳を傾けていくということを、まず心がけたいと思います、そうした形で言わば県民の皆様や職員と心を一つにして一緒に進んでいく方向性を見定めていく、少し不器用かもしれませんけれども、そうした形で着実に歩みを進めるようなやり方が、私の性格に合っているのではないかとお話しされたことを、まさに思い出したところであります。そうした中、さきに挙げた李登輝元総統の言われる5つの要素にも通じる、県民の気持ちや思いに寄り添う濱田知事の姿勢やお人柄は、記者会見の報道などを通じ県民に浸透しつつあるとも感じます。 コロナ対応という有事が長く続く中で、共に闘う仲間である県庁職員の皆様への思いについて職員の意識の変化や悩みなどをどう把握しているのか、また、さきの2月定例会では職員と共有したい思いとして、透明性の確保、進化の必要性、使命の感覚を持つこと、リスクを取って挑戦すること、想像力を発揮することという5つのキーワードを示されたところですが、改めて、有事の今期待する仕事への姿勢や進め方について知事の御所見をお伺いいたします。 また、この著書において李登輝氏は、台北郊外の観音山という山に登ったときのエピソードを引いて、指導というのは、四方が険しい崖である狭く険しい山の頂上に立っていることと同じで、孤独であり、自分以外に頼れる人はいない、だから孤独に耐え得る力を持つ必要があるが、その気力や勇気を与えてくれるのは信仰、そして自身の哲学であるとも述べておられます。 そういった意味で、コロナ対応という、より厳しい状況下で県政運営を担ってこられた濱田知事の大変さは想像もつきませんが、私なりに記者会見などで濱田知事のお話を伺う中で、自身にとってよくない情報でも包み隠さず正直に、誠実に受け答えをする姿勢、また、政策を判断する際に科学的根拠を重要視される点、できる限りシンプルに考え、一度決めたらぶれない姿勢など、濱田知事の哲学のようなものも、この間少しかいま見えたような気がしております。 そこで、そういった様々な知事の姿勢の源泉となっているであろう、県政運営における知事の哲学についてお考えをお伺いしたいと思います。 また、コロナが有事だとしたときに有事に対応した過去の指導に学ぶとしたら、危機に対応した指導として真っ先に名前が挙がるのが、ヒトラーに屈しなかった男、第2次世界大戦のときの英国の首相、ウィンストン・チャーチルであります。 危機に立ち向かうチャーチルの姿を描いた元在英国日本国大使館公使、現在、駐アメリカ合衆国特命全権大使の冨田浩司氏の著書「危機の指導 チャーチル」によると、危機の指導像に関する3つの必要な資質の最上位は、目的意識の明確だとされています。いかなるコストを払ってでも戦争に勝利すると目的を明確し、また、その大義を語ったチャーチルの演説が、当時の英国を結果的に支えたということですが、今回のコロナに置き換え、振り返って考えてみると、感染拡大防止と経済活動の両立という二律背反の命題に立ち向かうに当たり、ぎりぎりまで調整いただいた濱田知事の方針や優しさは、その意図が県民に十分に分かりやすく伝わったのかどうか、誤解を生まなかったのかどうか、私は今後のためにも、少し振り返って考える余地があるのではないかと感じております。 特に危機的状況下では、明確な方針に基づく明確なメッセージが情報発信をする際に重要だと思いますが、これまでの情報発信の在り方と今後の考え方について知事にお伺いいたします。 次に、県政にとって最も重要なパートナーである市町村の課題についてであります。私たち一燈立志の会では、コロナ対策において県と連携してきた市町村の皆様の取組について、閉会中に調査を行いました。結果、多くの市町村長さんから、県の対策については大いに評価しているとのお話を伺ったところであります。 特に、県単で早期に踏み切った融資制度をはじめとする経済対策、そしてPCR検査の体制づくり、高齢へのインフルエンザ予防接種支援などは、多くの市町村が高く評価をしているとのことでありました。一方、国や県の支援から漏れたところを支えていくのが市町村の役割であるということや、今後の第4波に向けての準備やワクチン接種などを考えると、ますます県との連携を深めていく必要があるとのお声も多く伺ったところであります。 そこで、コロナ対策において連携してきた市町村の課題を、県としてどう把握されているのか、また、この間の連携に課題があったとしたらどこか、さらに今後の向き合い方について知事の御所見をお伺いいたします。 また、ほぼ全ての市町村長さんが一様に危惧しておられるのが、市町村財政の今後の動向であります。国の財政出動により、コロナ対策での財政悪化は何とか避けられている状況ではありますが、そもそもコロナ前から財政は厳しい状況が続いていること、既に上半期で4億4,400万円法人住民税が減少しているように、今後もコロナにより税収が悪化することが予測されていること、さらに南海地震対策やデジタルなど、これまでになかった経費の支出や維持管理費が財政を圧迫していること、一方で、基礎自治体の担う業務は年々拡大していることなど、厳しい状況がある中で、国への提言なども含めて県の支援が必要だという切実なお声も伺ったところであります。 そこで、市町村の財政について、現状と課題、将来予測と今後の取組について知事のお考えをお伺いいたします。 この項最後に、今回提案された令和3年度の当初予算案は、濱田知事が初めて本格的に自身の手で当初予算編成を行ったものだと思いますが、この予算編成作業に当たって、知事として意識したことについて、御所見をお伺いいたします。 次に、想像したくはないですが、来る可能性は想定しておかなければならない、いわゆる新型コロナウイルス感染症第4波対策についてであります。 さきに、台湾の李登輝元総統のことを取り上げましたが、今回世界各国のコロナ対策において成功したと言われる国の一つが台湾です。 この中のマスク問題で一躍脚光を浴びたのが、天才IT大臣、何と35歳で閣僚に就任したオードリー・タンさんで、デジタルを駆使してのコロナ対応は、台湾国民はもちろん、世界中から高い評価を受けています。 そのオードリー・タンさん自身はその著書で、台湾成功の一番の秘訣、これはデジタルでもなければ、奇をてらった政策でもなく、2003年に流行したSARSの経験を生かしたことだと語っております。 つまり、2003年に痛い目を見た台湾政府は、その問題をそのままにせず、収束した後、一つ一つ課題を洗い出し、検討して解決してきた。これが今回、いざコロナが起きたときに対応できた基礎になった。それに加えて、SARS対応の課題を明らかにして、解決に向けて取り組む中で国民の意識も高まったこと。さらに、その延長で、誰かから強制されなくても主体的に動いて、困っている人に手を差し伸べるという意識を多くの国民が持ったこと。これが、今回のコロナ対策における台湾成功の秘訣だということであります。そうすると、来るかもしれない次の危機的状況に向けて重要なことは、昨年から取り組んできたコロナ対策の課題を洗い出し、何を乗り越えて次に向かうかということであり、県民ともその課題を共有することも重要だと考えます。 これまでのコロナ対策を行ってきた中での教訓とは何か、濱田知事にお考えをお伺いいたします。 次に、今後の経済対策についてであります。これまで県が事業に対して行った現金給付は、感染拡大防止措置での協力金と、昨年7月の国の持続給付金を受けた事業に対する追加支援、そして今定例会に提出されている新型コロナウイルス感染症対策雇用維持支援給付金という経済対策ですが、この中で、春に行った協力金は、当初法人ごとの支給から店舗ごとの支給に、給付金は、今回さらに要件緩和を行うなど、県が事業の実態に応じて、より支援が行き届くように少しずつ条件を変化させてきていることは、大いに評価するところであります。 その観点で考えたとき、来るかもしれない第4波に向けて、例えば、従業員数は多いものの正社員率が低い外食産業のように、今回の社会保険料を算定基準とした給付金の恩恵は薄いところなど、様々な現場の実態を把握した上で、さらにきめ細やかな事業支援を検討しておくことも重要だと考えますが、商工労働部長のお考えをお伺いいたします。 また、今回のコロナは、社会の在り方を根本的に変えた部分があり、市場のニーズなども変化しており、収束した後も、その影響は続く部分もあるということや、コロナという災害によって事業は悪化するも、能力ある経営の皆さんがたくさんおられることを考えれば、以前建設業が苦境の際に1次産業への参入を促進した例があるように、現在の業種変更や、さらに異業種への参入、そして今回の当初予算で強化する方針を出している事業承継などの情報提供など、幅広い視点で事業を支える取組を強化してはどうかと考えますが、商工労働部長のお考えをお伺いいたします。 次に、コロナ対策の交付金事業についてであります。県並びに市町村に交付された、コロナ対策としての国からの財政支援ですが、先日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会の質疑の中で、1人当たりの配分額が、県は全国3位、市町村分は何と全国1位ということが明らかになりました。これは費用のかさむコロナ対策に資する重要な予算で、各市町村で感染拡大防止の物品購入や事業への支援に使っていますが、市町村独自の取組も多く、例えば、土佐清水市では、キャッシュレスならではの即応性と経済性にも富む、地域電子通貨めじかを導入し、非接触のキャッシュレス決済で感染拡大防止を図るとともに、地域限定で使えるポイントで地域事業の消費拡大を図り、さらには高齢、事業のデジタルリテラシーの向上にもつながるような取組を行い、コロナ後も使えるインフラとして整備するなど、一粒で何度もおいしいような先進事例も出てきているところであります。 一方、市町村からはこの交付金の使途について、兵糧はたくさん届いたけれども、使い道について悩むこともあり、より有効に使うための情報が欲しいとの話もお伺いいたします。 この交付金は、基本的に幅広く使える財源のため、まさに市町村の意向が色濃く反映されます。その事業効果についてしっかり分析した上で、成功事例を共有することなどは、県の役割ではないかと思いますが、現在の情報共有の仕組みと今後の取組の方向性について総務部長のお考えをお伺いいたします。 次に、高知県の基幹医療機関である高知医療センターのバックアップ体制についてであります。先日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会に、高知医療センターの島田安博病院長においでいただき、いわゆる第3波来襲時の医療の状況について、第1波、第2波と比べて呼吸器が必要な中等症から重症患者が大幅に増加した第3波では、医療センターの医療資源の多くがこの対応のために投入され、年末年始は医療崩壊の一歩手前の状況、最後の最後に乗り切れたのは、通常よりも救急が少なかったという神風、つまり偶然の産物であり、このままこれ以上の第4波が来てしまった場合は、確実に持ちこたえることができないという、大変厳しい状況をお伺いしたところであります。 あわせて、この中で次なる波に備えるためには、これまで得た知見を改めて分析し対応につなげることの大切さや、感染症対応ができる医療従事の育成が急務であることなど、大変重要な提言も複数いただいたところであります。 そうした島田病院長の御意見の中で、私が最も重要だと感じたのは、基幹医療機関である医療センターのバックアップ体制を今から検討しておくことも必要とのお話であります。都市部には、たくさん代替機関があるが、高知県では医療センターが万が一本来の機能を果たせなくなってしまった場合、その医療をすぐに担える医療機関は少ないという島田病院長の抱く危機感は、極めて深刻に受け止めなければならない現実の課題であります。 その中で、医療センターのバックアップ体制について今から考えておかなければならないとしたときに、県内の医療に関わる総数を把握し、先手先手を打って対応していくために、県が果たしていく役割は大きいと考えますが、第3波の現状を踏まえた現在の取組と今後の方向性について健康政策部長のお考えをお伺いいたします。 次に、デジタルについてであります。 さきの第二次世界大戦において、日本の敗戦を決定づけたと言われるミッドウエー海戦をはじめとする数々の重要な戦いに海軍参謀として参加し、戦後、自身も深く関わった軍の戦略とその敗因を詳細に分析し、多くの著作を残された室戸市出身の奥宮正武氏は、あの戦争を、それは空の戦であったと称しました。その心は、飛行機という、当時の常識を超えた新たな飛び道具こそが全ての行動の原則となるとし、その新しい技術をいかに活用できたかどうか、そしてその技術を使って空という空間を制す、制空権を確保できたかどうかということが勝敗に直結したという意味であります。 もちろん同じようにはいきませんが、この教訓を現代の状況に置き換えて考えたとき、デジタルという、確実に今後の社会にとって基礎的なインフラとなる技術を自らの基盤として考えることができるかどうか、そしていかに早期に自分たちのものとしてその技術を利活用することができるかどうか、そしてデジタル空間を制することができるかどうか、今後の県政にとっても、デジタルの進捗は非常に重要な時期にあると言えます。そこで、現在の本県のデジタルに関して、幾つか質問させていただきます。 まずは、経済におけるデジタルとして、県が今年度から取り組む中小企業デジタル促進モデル事業についてであります。デジタルの遅れている県内中小企業において、伴走しながら支援を行い、成功モデルをつくり、横展開を図っていこうとするこの事業は、時宜を得た非常に重要な取組だと考えます。一方、横展開するに当たり、いわゆる企業秘密も含まれるノウハウを多く含む技術についての移転には難しさも付きまとうのではないかと思うところです。 この取組事例の横展開を図るに当たってどのような仕組みを考えておられるのか、商工労働部長にお伺いいたします。 次に、教育のデジタルについてであります。国のGIGAスクール構想に基づき、今後教育のデジタルは全国的に急速に進んでいくとされていますが、高知県もコロナ対策もあり、来年度からは全ての公立の小中学生に1人1台のタブレットパソコンが市町村を通じて貸与され、学習の在り方も大きく変容することとなります。 そのような中、そもそもGIGAスクール構想とは何なのか、また授業はどのように変わるのか、保護はどう対応すればよいのか、保護の皆さんから様々な問合せが増えてきたように思います。 これは、それぞれ市町村教育委員会を通じて各学校で行うべきことでもありますが、こうした保護の皆さんに対する説明や広報について今後どのように進めていかれるのか、教育長のお考えをお伺いいたします。 また、公立の生徒に貸与されるタブレットですが、国の構想では自宅へ持ち帰って学習にも活用するということが推奨されています。本県での取扱いもこの国の方針に沿うものになるのか、またその場合紛失などのトラブルが起こった場合どう対応するのか、教育長にお伺いいたします。 また、タブレット本体自体は市町村所有、中身の情報は個人所有の財産ということになると思われますが、このデータの所有権と引継ぎ、例えば公立から私立に進学した場合などはどうなるのか、現在の検討状況について教育長にお伺いいたします。 次に、カツオ・マグロ漁業の振興についてであります。 昨年の2月定例会において、黒岩正好議員、そして私自身も本県の重要な漁業であるカツオ・マグロ漁業の苦境と対策を訴えたところでありますが、その際、知事より、関係と協議して対策を取りまとめると御答弁いただいたとおり、今年度関係へのヒアリングと対策取りまとめが進み、初めて来年度から産業振興計画にも、カツオ・マグロ漁業の振興が掲載されることとなりました。この間の県と関係の皆様の熱い御努力に心から感謝を申し上げるところであります。 この振興計画では、現状について、カツオの近海・沿岸、マグロの遠洋・近海という4業種それぞれの現状と課題について詳細に分析されていますが、結果を見ると、どの業種も共通する深刻な課題は、漁船の高船齢と船舶職員の高齢、担い手不足であります。 通常、乗換えの時期である船齢20年以上の船の割合は、最も経営が堅調と言われる近海マグロはえ縄漁業でも55.1%、高知の食卓を守る19トンの沿岸カツオ一本釣り漁業に関しては、何と70%という高い数字であることが明らかになりました。 そういった意味では、高知県の漁船漁業生産額の6割を占めるカツオ・マグロ漁業は、まさにこれを守り、継続させていけるかどうか、今大きな分岐点にあることは明らかであります。これまで以上の危機感を持って、この問題に向き合う必要がありますが、今回の取りまとめは、その第一歩として大変重要な取組であります。 その中で、今後、さらにこの漁業を何としても守るという観点で県の支援を強化してもらいたいと考えるところですが、そのためには両漁業の位置づけを、改めて県民にも理解してもらえる形で整理する必要があると考えます。 それには、両漁業の生産量や生産額といった基本的な数値に加えて、県外の方の高知に対する印象でトップであるカツオのブランドイメージの価値や、これまで培ってきたカツオ・マグロ漁業の高知県の歴史文化などの価値、さらにはこうしたブランド価値を守ることで維持される経済効果など、多角的な価値を分かりやすい形で数値するなどの取組も必要だと考えます。これは、まさに難しい課題です。 もし、高知県から両漁業が失われてしまったらどんな影響があるのか、水産行政のみならず県政を挙げて、その理論構築に取り組む必要があると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、今回の取組の目玉である事業戦略の策定・実行支援についてであります。10事業を選定し、事業戦略策定をサポートするこの取組は、事業の経営改善に資するすばらしい取組だと評価するところですが、一方、手を挙げてくる10事業は、そもそも意欲高い事業となるのではと思うところでもあります。そうすると、真に廃業を検討している、苦境にある事業を支えるという体制にも、さらに心を配る必要があるように思います。 そこで、今回選定する10事業以外の事業へのサポートについてどのようにお考えか、水産振興部長のお考えをお伺いいたします。 次に、喫緊の課題である人材確保についてであります。今回の取組では、日本人船員の確保とともに、外国人材の確保についても進めていく方針が記載されていますが、その中で期待されているのが、いわゆる特定技能制度の活用であります。 一方、この特定技能制度についての運用を議論している水産庁の組織した漁業特定技能協議会の申合せでは、当面の間、漁船1隻当たり、技能実習生と特定技能外国人の合計人数が、それ以外の乗組員の人数の範囲内を目安とするとあることから、日本人船員と同数しか乗船させることができないため、実態として、多くの外国人船員を乗船させている本県のカツオ・マグロ漁業にとっては、せっかくの特定技能制度を実質活用できない状況となっております。 国に対し、この申合せの要件緩和についても要望していくべきだと考えますが、水産振興部長のお考えをお伺いいたします。 次に、公共交通問題、そして高知県の公共交通の中心、とさでん交通についてであります。 私が公共交通問題を考えるとき、いつも手に取るものがあります。それは、平成24年7月6日に当時の高知県議会公共交通問題調査特別委員会で取りまとめた、高知県の公共交通の在り方についてという報告書であります。 この特別委員会は、旧土電と当時の県交通の経営悪化をその契機として、県内公共交通の在り方をそもそも見直さなければならないというところからスタートし、約1年間の間に18回にも上る委員会の開催、県外調査、市町村のヒアリング、現地調査、利用との意見交換会、他県の有識や交通事業経営を招いての勉強会など多岐にわたる取組を経て、県内の公共交通の現状と課題、そして向かうべき方向性を取りまとめたものであります。 路面電車からバス、鉄道、タクシー、中山間の交通対策などなど、ほぼ全ての交通課題を網羅し、対策を提言し、さらに県民に向けてのメッセージなど記載した65ページにもわたるこの報告書は、最後の取りまとめ時には委員長として仕事をさせていただいた私自身の公共交通を考える上でのベースともなっております。 この報告書の最後の部分では、県民の公共交通に対する向き合い方として、「一人一人が乗らないとなくなることへの意識転換が必要、県民参加のない公共交通の継続は難しい、行政は継続的な啓発活動をすべき」とし、「県民・交通事業・行政が一体となって、公共交通を守り育てる県民運動が巻き起こることを切に望む」と締めくくっております。その後、こうした議論もベースとして、旧土電経営陣の不祥事をきっかけに、両社の経営統合が奇跡的なスピードで行われ、県内公共交通は新たなステージに入りました。 そして、新会社であるとさでん交通は、事業再生計画に基づき経営改革に取り組み、これまでは計画を上回る成果も出してきたところであります。しかし、今回のコロナ禍により、経営は悪化、また長期戦が想定されることなどにより、先行きも非常に厳しい状況になってきたと懸念するところであります。 まさに今、県内公共交通事業の核であるとさでん交通の状況や、その他の交通課題などを考えたとき、9年前の委員会で議論したときのように、もし公共交通がなくなってしまったらという厳しい問いが、現実味を持って私たち県民に、そして議会に重くのしかかってきていると言っても過言ではありません。 そのような中、今また、とさでん交通の問題を通じ、高知県の公共交通について、県民全体で議論を深めなければならない時期が来たのではないかと感じるところであります。 そこで、知事にお伺いをいたします。さきに述べたように、県内交通事業の核であるとさでん交通は、県議会が報告書を出してから2年後の平成26年10月に発足いたしました。そこに至るまでに、2,000名を超す既存株主の株主権の消滅、関係金融機関の28億円にも上る債権放棄、経営陣の刷新など、激しい血と涙を流しつつ、さらには関係自治体から10億円の出資を受けるなど、全国に類を見ないスピード感で改革が断行されたところであります。 こうした経緯の中で生まれ変わった新会社には、高知の公共交通を支える中心として長く活躍してもらいたい、新会社の出発式に当たり、多くの関係、そして県民がそう願ったところであります。 濱田知事は、この頃は高知におられなかったこともあり、現場でこのことを見られていたわけではありませんが、改めて今、この経営統合、新会社の発足についてその経緯や意義も含めてどのように評価されているのか、お伺いをいたします。 次に、新会社が発足してから、県民、交通事業、行政が5年半にわたり達成しなければならない指針としてきた事業再生計画がちょうど区切りを迎えるに当たり、これまでの計画の総括をどのように考えるのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 また、この計画では、事業の自助努力を基本としつつ、構造的な問題を抱えた公共交通の維持のためには、引き続き行政の追加支援が必要である旨も明記されております。冒頭申し上げましたように、コロナによる経営環境の悪化という引き金はありますが、そもそも民間事業でありながら、公共交通を支える使命を持っているとさでん交通には、もともと構造的な課題があります。 そのような中、新会社の設立という、ある種の応急措置でこれまでうまくしのいできたところですが、ここに来て、改めて抜本的な治療が必要な段階になってきたのではないかと感じるところでもあります。 そうであれば、とさでん交通の担う公共交通機能を公的にどう支えていくべきか、1段階フェーズを上げた議論が必要ですし、また冒頭の特別委員会の報告書にあるように、その際、県民が我が事として考える環境ができるかどうか、これも非常に重要なポイントであります。 そこで、こうした議論を進めていくに当たっての体制づくりも含めて、今後の本県の公共交通の課題、とさでん交通の課題にどう向き合っていかれるおつもりか、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、中山間問題、集落活動センターについてであります。 2012年に集落活動センターが発足してから今年で10年、これまで開設されたセンターは県内61か所、投入した県費は約11億円、市町村負担分も加えれば22億円に上ります。 当初の設立の意義は、平成24年当時の尾崎知事の言葉を借りると、所得を生む経済活動、福祉・医療と防災という3つの機能を同時に果たし、若い世代の人口増加を図りつつコミュニティーの維持を目指すということであります。その後10年たって、この3つの機能のうち、福祉と医療と防災という点に関しては、その目的に沿う活動ができているのではと、大いに評価するところですが、最初の経済については、率直に厳しい状況が続いている現状があるように思います。 これまで、自走時期における経済活動を拡大するための予算として準備していた補助金についても、利用率が悪く、次年度の予算からは、新たな方式に変更されることとなったことは、厳しさの一つの現れでもあるのではないでしょうか。 一方、難しい状況については重々承知をしていますが、市町村からしても、福祉や防災の拠点をつくろうとしてセンターに投資をしているわけではなく、やはり集落を維持するためには、若者の定住を図らなければならないという危機感の下に、一筋の光をセンターに見いだして設立していることを考えれば、この経済活動をいかに進めていくかということは、引き続き大変重要な課題であります。 昨年の決算特別委員会でも、橋本敏男議員から、一旦取り組んだ経済活動が頓挫したときのサポートについて、さらに注力してほしいこと、横山文人議員から、センター全体の経済活動に対する現状と成果の把握にもっと力を入れてほしいという質疑があったところですし、本会議でも、このセンターの経済活動における課題については、議員各位から数々の質問がなされており、注目の高さは言うまでもありません。 このセンターの経済活動に関しては、もちろん主体となる地元住民、そして市町村の果たす役割も大きいと思いますが、広い意味で幅広い情報や人脈を持ち、県民の経済活動を支えている県が牽引しなければならない部分も、実態としては多くあります。 そこで、センターの経済活動に関し、今回補助金の変更はありましたが、これまでどおり最も重要な機能の一つと位置づけ、県として強い思いを持って引き続き取組を進めていくのか、また、これまでの課題をどう総括しているのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 次に、センターを支える人材の確保についてであります。センターの活動で最も困っていることは、人、慢性的な人手不足、そして人材不足であると言われており、市町村から県に対する支援の要望が多いのも、この人材確保に関する課題だと聞くところですが、現状と今後の考え方について中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 また、第1問でお伺いした経済活動を進めていくための人材確保も特に重要であります。経済活動をセンターで進めていく一助とすべく、ビジネスモデル集の活用を導入した平成26年の中山間総合対策本部会議で当時の尾崎知事は、センターの運営は新しいビジネスを立ち上げないと難しい、担い手がいなければ域外から連れてくるしかない、その部分が中山間対策の成否を決めると、強い思いを口にしております。 そこで、センターの経済活動をはじめ中山間の振興に資する人材確保については、移住、起業家育成、企業誘致など、複数の部局にまたがった県の取組の状況を把握しつつ、連動させながら行わなければならないとしたときに、その情報を集め、市町村と共有する、あるいは市町村からの要望を県庁内に届けるという役割を産業振興推進地域本部が担うことも重要ではないかと考えますが、産業振興推進部長のお考えをお伺いいたします。 次に、県史編さん事業についてであります。 昨年2月の本会議において、この20年にわたる長期的大事業を行うことをてことして、教員や高校生に関わってもらい、歴史人材の育成にもつなげてもらいたい旨の議論をさせていただきましたが、来年度よりとうとう全県的な歴史資料調査が始まることとなりました。 これまで高知県は、前回の県史編さん時も含めて全県での悉皆調査を行ったことはなく、来年度から始まる取組は、散逸しつつあるの歴史資料の保存や、消滅しつつある集落の歴史保存などを考えても最後のチャンス、大変重要な取組だと大いに評価をするところであります。 県は今後、県史編さんに取り組むための県史編さん室を設置し、専門人材などを配置して取組を進めることになりますが、その人材の確保、そして民間の歴史家などのネットワークも含め、その人材を支える体制の整備、さらには市町村との連携などが課題になってこようかと思います。 今後、こうした課題をどう乗り越えていくのか、また20年の長い期間で編さんに関わる人材の確保に当たっては、貴重な歴史人材の育成という観点で若い人材の確保が特に重要だと考えますが、文化生活スポーツ部長のお考えをお伺いいたします。 次に、県有施設のさらなる活用についてであります。 まず、磨き上げ整備基本構想に基づき、新研究棟の整備など、新たな取組を進めている牧野植物園についてであります。 県は、この磨き上げ構想を基本に園のさらなる魅力を進め、2022年度以降は、2018年度比3割増の年間20万人以上の入園確保する目標を掲げております。 御案内のとおり、牧野植物園は本県にとって、観光、文化、教育、経済など様々な分野で欠かせない重要な施設であります。その意味で、園の魅力、活性は、観光で来られる皆さんのみならず、もちろん県民にとっても喜ばしいことですが、いまだ幾つかの課題も抱えているところであります。 その中の1点目は、五台山観光全体で考える必要がある交通アクセスの問題であります。さきに挙げた構想では、牧野植物園、五台山公園、竹林寺が連携することの重要さとともに、貧弱な交通アクセスについては、唯一の公共交通MY遊バスの運行の継続と便数増加、狭隘道路の拡幅、そして駐車台数の増加に取り組む必要のあることが明記されているところであります。 そのような中、最も重要な駐車場問題について、一昨年6月、山崎正恭議員から質問があり、川村部長から、根本的な駐車場対策としては、駐車場を拡張することが望ましいが、五台山は傾斜地が多く、新たに駐車場を整備することは難しい、このため、園周辺の民有地も含め、駐車台数を確保できないか、今後も検討を続けていくと答弁があったところであります。 そこで、現状を伺ったところ、2月まで開催した旅するラン展では、駐車場が満杯のため引き返すお客様が多数いたこと。また、園内で最も花などが見頃である春のゴールデンウイークでも、駐車場不足でお帰りいただくといった状況が常態していると伺いました。 対策として、バスによるピストン輸送も行っているとのことですが、そのバスも渋滞により動けない状況にあると聞きます。これでは、目標を20万人としても、その達成は非常に厳しいのではないかと不安を覚えるところでもあります。 また、このような状況が常態すれば、牧野に行っても渋滞で見えるかどうか不安だということで、客足が遠のくこともあるのではないかと懸念します。新たな整備が着々と進み、入園の増加が図られる中、この問題はまさに焦眉の急であると言っても過言ではないと思います。 この駐車場問題に関し、これまでの間、課題の解消に向け、どういった検討がなされ、対策が進んでいるのか、一昨年答弁された新たな土地の確保対策の進捗はどうなっているのか、また、もし新たな土地が確保できなかった場合、現在の駐車場の土地を活用し立体駐車場の建設など、さらに駐車台数を増やす工夫は考えられないのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 また、園が土佐固有の希少植物をはじめ、世界各国から提供された希少植物の宝庫であることは、牧野植物園の持つ重要な価値を表すものですが、この価値を守っている最前線の重要な施設が、園のバックヤード機能を果たしている、いわゆる長江圃場であります。この長江圃場は、園の重要な財産、そして積み重ねてきた知見の宝庫ということで、厳重な管理体制の下、運営されている大変重要な施設であります。 その圃場が、南海トラフ地震において全面浸水区域に指定されるという、大変ショッキングな出来事から、県は現在長江圃場の希少植物の高台移転検討を始め、今年度は高台の移転候補地の測量を行ったところであります。 昨年2月議会では、担当委員会においてこの長江問題が議論され、当時の西内委員長から、委員から、長江圃場の植物についてどの程度の範囲で高台移転を考えているのかと質疑があり、執行部からは、長江圃場の全ての植物を高台に移転することが可能か、令和2年度に実施する移転候補地の測量調査の結果も踏まえて検討していくとの答弁があった、との委員長報告がなされたところであります。 一方、委員会のやり取りの詳細を確認すると、高台移転によって、どの程度の植物の移転ができて、どのくらいが残るかという加藤漠議員の質問に対し、どれだけのものを上に上げることができるのかまだ確定していない、測量しながらしっかり考えていきたい、その中では、順番、優先順位も園と相談する、ただ、現実には圃場の全てのスペースを上に上げるのはちょっと難しいと考えている、との答弁もなされているところであります。 直ちに山を切り開き、全てを移転するには、多くの予算が伴うことも承知しています。しかしながら、南海トラフ地震の発生が切迫する中、スピード感を持って対応していかないと、これまで長年にわたって収集し、研究を積み重ねてきた研究型植物園としての機能を失うことになるものと、懸念もするところであります。これら貴重な植物は、高知県民の財産でもあります。 そこで、この牧野植物園の生命線の一つとも言える長江圃場の浸水対策について、一部移転という表現を使うと、残りは津波でなくなってもいいかのような誤解を生むことにもなることから、一部移転という表現ではなく全面移転を目標にスピード感を持って対策を講じるべきと考えますが、林業振興・環境部長に御所見をお伺いいたします。 次に、昨年の2月議会でも、高知みらい科学館との連携という趣旨で取り上げさせていただいた芸西村天文学習館についてであります。その際に教育長からは、科学館との連携を深めつつ、学習館のさらなる活性を検討していくという御答弁をいただいたところであります。 その後、私も改めて学習館で毎月5回から8回行われている観測会に、子供たちも連れて参加をしました。ちょうど浜田豪太県議も御家族で参加されており、共に星空を眺めながら宇宙のロマンに身を浸したところですが、その日の講師は、まさにこの館設立のきっかけとなったコメットハンター関勉先生、その人でありました。 関先生が世界に知られた天文研究家であるということは言うまでもありませんが、90歳を超えた先生が、毎月最低1度はボランティアで講師をしていること、子供たちに星空の話をし、丁寧に観測も手ほどきしてくださっていること、しかも、それは館ができて以来もう数十年になることに、改めて静かな感動を覚えたところであります。 そこで、歴史を振り返ってみると、高知出身の天文家、実業家である五藤斎三氏が、ふるさと高知に対する思いある中で、その高知の空を穴が開くほど見詰め、草の根で世界的研究を行う若き日の関先生の天文に関する情熱に感動し、1910年のハレーすい星をきっかけに自身が抱いた天文の夢を関先生に託そうと、当時、日本最大級、そして非常に高価だった60センチメートル反射望遠鏡を県に寄贈、この望遠鏡を設置するため、県青少年センターの分館として開館したのが昭和56年4月、つまりこの4月には、館は40周年の節目を迎えることとなります。 この間、2人の情熱とその出会いをきっかけに、関先生はこの望遠鏡、施設を使って多くの発見を成し遂げ、小惑星に、高知にまつわる多くの名前もつけてくれております。 また、臨終にあった五藤斎三氏の枕元に、まさに見つけたばかりの小惑星を「五藤」と命名し、恩返ししたというエピソードや、関先生の挑戦を応援し続けてきたお母さんが入院中、観測に行きたそうな先生に、行きたいがやろ、気にせず行ってきいやとの言葉をかけ、出かけた先生は小惑星を発見、ところが病院に帰ると、既にお母さんが意識なく、その星にお母さんの名前をつけた先生は、今もその星を見るたび手を合わせているとの話など、実際のエピソードの数々には驚くばかりですし、こうした話を直接聞くことができた子供たちの感動はいかばかりかと思います。 こうした活動の基盤となった館は、昭和55年生まれの私とほぼ同世代、何かと親近感も湧きますが、これまでいろいろと紆余曲折も経験してきました。 平成16年には、財政難による休止、廃止の検討もされる中、当時の江渕征香県議会議員から大崎教育長への五藤さん、関さんへの評価と存続を求める質問に対し、お二人の本県に対する貢献は大変大きなもので、私どもとしましては、当施設を活用した学習活動に継続的に取り組むことが、お二人の御功績に報いる道であると考えていますと、施設継続を明言。さらに、今後の課題である学習体験機会の拡充と関さんに続く天文研究家の育成、これに学校をはじめ様々な皆さんとともに取り組んでいく。また、指導の育成についても、関係の御協力をいただいて取り組んでいくと、引き続き県が取り組む課題についての答弁があったところであります。 そこで、大崎教育長の答弁から既に17年が経過していますが、このとき県が挙げられた学習体験の拡充、指導となる天文研究家の育成についてこれまでの取組はどうだったのか、教育長にお伺いをいたします。 また、館は、経年劣化による老朽で非常に厳しい状況でもあります。併せて、バリアフリーなども手つかずの状態から、90歳を超えた先生が暗闇の中、坂道を歩いて館まで行く様子を見て、心苦しい思いも抱いたところであります。 40年継続して子供たちの天文学習に、そして高知の天文家の皆さんのメッカとして活躍してきた館の施設の整備とバリアフリーも検討してもらいたいと願うところですが、現在の考え方について教育長にお伺いをいたします。 また最後に、館設立のきっかけとなり、現在も活動の大黒柱として活動を続けてくれている関勉先生が、高知県に与えた影響についてであります。先日、誇るべき故郷のヒーロー藤川球児投手が引退、県はその功績に対し、「高知くろしお感動大賞」を創設、長年県民に与えた感動に対して感謝の気持ちを表したところであります。受賞が大きなニュースとなり、故郷高知の思いに大いに喜んでくれている藤川投手をテレビで見て、すばらしい取組だと感動し、県が公式に感謝の気持ちを表すことの重要性に、改めて気づかされたところであります。 そういった中で、世界的天文家として活躍しながらも、地道に高知の空を見上げながらこつこつ研究を続け、90歳を超えてなお、高知の子供たちに星空の楽しさ、自分の経験を継続して伝え続けてくれている関勉先生のことが、まぶたに思い浮かんだところであります。決して派手ではない、知る人ぞ知る存在ではあるかもしれないけれども、こうして地道に活動を続けてきた関先生の歩みの一歩一歩には、深く重い感動を覚えるところであります。 そこで改めて、関勉先生がこれまで高知県の子供たちの天文学習、天文研究家に与えた影響と、広い意味での県に対する貢献についてどのように評価されているのか、濱田知事にお伺いして、第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 大石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、コロナ禍におけます県の職員の意識あるいは職員に期待する仕事への姿勢と進め方についてお尋ねがございました。 昨年春から現在まで、新型コロナウイルス感染症という、誰もが今までに経験したことのない難題に対しまして、まさに県庁一丸となって全力を挙げて取り組んでいるところであります。この間、職員からは、自らの感染リスクや収束が見通せないことへの不安の声、またテレワークなどの新しい働き方への戸惑いの声も聞いております。そうした状況の中、多くの職員が、コロナ対応で業務量が増えた部署への応援ですとか簡易療養施設の運営などに、自らの担当業務を越えて柔軟に対応をしてくれております。 このことは、県民の皆様のために何をすべきかを考えるという使命感と、課題に正面から挑戦するという姿勢の表れでありまして、職員の士気の高さを改めて再認識いたしましたし、大変心強く感じているところでございます。 次に、仕事の進め方に関しましては、共感と前進という基本姿勢の下、議員のお話で御紹介いただきましたような5つのキーワードを、引き続き職員と共有をし、実践をしてまいります。 その中でも、現在の状況にありましては、特に、1つには、社会・経済構造が変化していく中で、県民の皆さんが何を求めているかを、想像力を働かせて先手先手を打っていくこと。そして、ピンチをチャンスに変え、高知の強みを生かすべく、デジタル、グリーンといった新たな取組に果敢に挑戦をすること。これを意識して進めていくことが大切だというふうに考えております。 職員には、こうした姿勢の下、5つの基本政策、3つの横断的な政策を進化させながら、その成果を県民の皆様にお示しできますように、全力で取り組んでもらいたいと考えております。 次に、県政運営におけます私の哲学はどうかというお尋ねがございました。 私が肝に銘じております言葉に、「なんじの俸、なんじの禄は、民の膏、民の脂なり。下民は虐げやすきも、上天は欺き難し」という言葉がございます。有名な言葉だと思いますが、これは、二百数十年前、二本松藩主の丹羽高寛公が藩士たちへの戒めとして刻みました戒石銘の言葉であります。 この意味を、私なりに、現在のこの地方自治の現場に置き換えて、意味するところを考えますと、県政の運営は、言うまでもございませんが、県民の皆さんから収めていただいた税によって支えられております。また、県政運営に関して、知事として行使をしております権限は、県民の皆さんからお預かりをしているものだということだと考えます。そして、組織として仕事をするという以上、言わば人の口に戸は立てられないということは、常に意識しておかなければいけないのではないかというふうな思いを持って受け止めております。 そうしたことであるのであれば、県民の皆さんに県政の実情や姿につきまして、都合の悪い情報も含めて誠実かつ率直にお伝えをして、これを県民の皆さんと共有していくべきだというふうに考えております。 とりわけ私の場合、これまで総務省から出向した各地方の現場におきまして、厳しい財政難ヘの対応、あるいは不祥事への対応などの経験も重ねてまいりました。こうした厳しい局面にあってこそ、県民の皆さんに客観的な根拠もお示ししながら率直に、かつ誠実に説明を尽くすということが、県民の皆さんの理解を得るための唯一の道だと考えるに至っているところであります。 私は、こうした思いを日々胸に刻みながら県政運営に当たることを通じまして、県民の皆さんの信頼をいただき、また共感いただける県政を実現していただきたいと考えております。 次に、危機的状況下におけます情報発信の在り方についてお尋ねがございました。 県では、国内外での新型コロナウイルス感染症の発生を受けまして、昨年2月に県の危機管理指針に基づきます高知県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしまして、これまでに19回の本部会議を開催いたしております。 本部会議では、国の基本的対処方針あるいは県内の感染状況、経済状況などを踏まえまして、県の感染症対応の目安に基づきまして、そのときそのときの対応方針を決定してまいりました。決定した方針につきましては、県民の皆さんに対し、本部会議の場や、その都度の記者会見などを通じまして、私自ら情報発信するように努めております。 しかしながら、特に昨年5月には、飲食店などへの休業要請を解除するという一方で、同じタイミングで県民の皆様には、こうした飲食店への出入りを自粛するように呼びかけるというような、今から思いますと、いささかちぐはぐなメッセージを出すというようなことがございました。 その際に、事業の方々からは、営業を行っていいのか悪いのか、これは大変分かりづらいといったお叱り、御批判も頂戴したところであります。この点は、直後にメッセージの軌道修正をいたしましたけれども、こうした反省点も踏まえまして、メッセージの発信に当たりましては、その根拠や背景となりました考え方についても、併せて説明していくということによりまして、分かりやすく丁寧な説明になりますよう、今後も努力をしてまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス対策におけます市町村の課題や市町村との連携につきまして、お尋ねがございました。 これまで、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限にとどめるために、感染拡大防止と経済対策の両面から様々な対策を講じました。こうした対策の実行に当たりましては、県と市町村の連携が不可欠であるというふうに考えます。 感染拡大防止の面では、診療や検査の体制づくり、積極的疫学調査による濃厚接触の確認など、直接的な蔓延防止対策は、主として県が担います。市町村には、県と連携した住民の皆さんへの広報活動などを実施いただいております。また、経済対策面では、地元事業の皆さんへのきめ細かな支援などは市町村に担っていただいているという関係にあると考えております。 コロナ禍におけます市町村の課題といたしましては、避難所におけます感染症対策の強化のほか、様々な住民活動が自粛をされたことによります地域コミュニティーの維持などがあるというふうに考えております。 また、県と市町村の連携に関するこれまでの課題といたしましては、昨年春の休業等の要請に伴う協力金の事務が挙げられます。短時間での制度設計を余儀なくされましたので、急遽、市町村に御負担をお願いするという形になりました。市町村からは、もっと早く情報が欲しかったというお声をいただいたところでございます。これ以降は、この点を反省点といたしまして、きめ細かな情報共有や連携に、特に意を払っているところであります。 今後は、市町村が実施主体となります住民の皆さんへのワクチン接種が全県的な課題であると考えております。現在、市町村におきまして、4月の末から本格的に始まりますワクチンの住民接種の準備を進めていただいているところであります。 市町村からは、医療従事などの確保などに苦慮しているという声もお聞きをいたしておりますので、県といたしましても、新たに設けましたワクチン接種推進室を軸にいたしまして、全庁挙げて市町村をしっかりとサポートしてまいります。 次に、市町村財政の現状と課題、将来予測と今後の取組についてのお尋ねがございました。 まず、市町村財政の現状についてでございますが、本県の市町村は全国の平均的な市町村と比べまして、税収が少なく、また地方交付税などの依存財源に頼る脆弱な財政構造となっているのが特色というふうに考えております。このため、個別に見ていきますと、大規模事業を実施した影響で収支が悪化をし、いわゆる財政調整的な基金の残高の減少が続いているような団体もある、そういう状況となっております。 コロナ禍の中で、市町村財政への影響も懸念しておりましたけれども、1つには、御指摘もありましたような、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきまして、人口1人当たりの金額で言いますと、市町村分につきましては、全国1位の規模で確保がされたというようなこと。また2つには、税収が大きく落ち込んだわけでございますが、この対応につきまして国へ要望、提言も行いました結果、いわゆる減少補填債という特別な地方債の対象になる税目が、法人課税だけではなくて地方消費税交付金など、6つの税目に拡充をされたということがございます。こうした財政措置を取られました結果、コロナ関係の影響での収支の悪化は、かなりの程度、回避がされたというふうに考えております。 ただ、御指摘もありましたように、今後の見通しにつきましては、多くの市町村におきまして、南海トラフ地震対策などによる公債費の上昇あるいは人口減少に伴います地方交付税などの減少が予想され、厳しい見通しを持っておられるということだと思っております。 こうした状況を踏まえまして、今年度は、各市町村へのヒアリングを通じまして、より有利な交付税措置のある起債の活用でございますとか、特定目的基金の有効活用などについて助言を行ってまいりました。来年度以降も、収支見通しを作成する際の技術的な支援でございますとか、実質公債費比率の目標値の設定などといった個別の状況に応じました、より踏み込んだアドバイスを行ってまいりたいと考えております。 次に、来年度の当初予算編成作業に当たりまして、知事として意識したことは何かといったお尋ねがございました。 就任以来、初の本格的な予算編成となります来年度の当初予算編成は、アフターコロナ・ウイズコロナ時代という中で、デジタルなどの新しい取組に挑戦をし、これまで進めてきた施策をさらに具体的な成果につなげていく、言わば攻めの予算となるべく編成をしたところであります。 この予算編成に限らない話でございますが、こうした施策を進めていくに当たりましては、常にその目線を県民の目線に合わせて、そして具体的な成果を展望しながら、企画をし、進めていくということ。そして、さらに施策の立案に当たりましては、県庁内の各部局の取組に横串を刺しまして、言わば俯瞰的に行っていくということ。こういった視点が重要であると考えながら予算編成の作業に当たってまいりました。 そのために、今回の予算編成では将来を見据えながら、県民の皆さんの生活、社会経済活動の大きな変化に対応していくというためには、デジタル、グリーン、グローバルという3つのキーワード、こうした切り口を意識しながら施策を強化したというところであります。 こうした施策を進める中で、県民の皆さんの暮らしや県内事業の経済活動がどのようによくなるのかということを具体的にお示しをするということで、県民の皆様、事業の皆様の共感を得ることにつながっていければというふうな考えを持っております。 加えまして、県民座談会の開催あるいは地域への訪問などを通じまして、その実情を把握し、施策にしっかりと反映していくということを通じまして、共感と前進の県政の実現をさらに目指してまいりたいと考えております。 次に、これまでの新型コロナウイルス対策を行ってきた中で、どういった教訓を得たかということについてのお尋ねがございました。 新型コロナウイルスに限りませんけれども、感染症の対策で最も重要なことは、感染拡大のスピードをコントロールして、医療提供体制を逼迫させないことであるというふうに考えます。 昨年春の全国第1波の流行の際には、積極的なPCR検査、飲食店などへの休業、時間短縮営業の協力要請も行いまして、1日の新たな感染数を、当時でございますけれども、最大10人といったレベルに抑え込むことができました。一方で、当時は確保病床が少ないという事情がございまして、病床の逼迫が課題となりましたので、昨年10月までの間に、最大確保病床を200床まで増やすということと併せまして、宿泊療養施設の確保といった準備も進めてまいったところでございます。 昨年末からの全国第3波に当たる波におきましては、本県でも、新たな感染が1日最大で36人にまで上るというような状況になりました。こうしたことから、病床の占有率は最大で68.5%にも達したわけでございます。 こうした経験で得ました教訓といたしましては、まずは感染を急拡大させないために、感染拡大の兆候が見られた場合には、対応策を速やかに決定し、実行するということだというふうに考えております。 また、医療提供体制を逼迫させないために、入院医療機関におけます受入れ可能数の増加あるいは連携体制の強化を図っていく必要があると考えております。このために、現在は最大確保病床数をさらに上積みしまして、208床を確保するということと併せまして、感染症指定医療機関と入院協力医療機関との間の役割分担を再整備したところであります。さらに、重症患者への対応につきましては、医療センター以外の2つの医療機関でも分担していただくために、県と重症患者の対応を行います、合わせて3つの医療機関との間で連携手順などの実務的な協議を開始したところであります。 現在、県内の感染状況は落ち着いているところでありますけれども、落ち着いている今こそ、これまでの教訓を生かして次の感染の波に備えるように、しっかりと準備を進めてまいります。 次に、カツオ・マグロ漁業の多角的な価値を評価することについてお尋ねがございました。 本県の遠洋・近海カツオ・マグロ漁業は、高度経済成長期と時を同じくいたしまして、世界各地の漁場を開拓し、勢力を拡大いたしました。昭和50年代には1,000億円を誇りました本県漁業生産額の約半分は、このカツオ・マグロ漁というような状況でありまして、本県の漁業を牽引してまいった状況だと考えております。 しかし、各国が排他的な経済水域を設定いたしました昭和52年以降、漁場は縮小いたしまして、資源の減少、国際的な資源管理の導入とも相まちまして、全国的に隻数、漁獲量とも減少しております。こうした厳しい状況の中でも、これらのカツオ・マグロ漁業は依然といたしまして、本県漁船漁業生産額の約6割を占める重要な漁業でございます。 議員のお話にございましたように、これらの漁業は、産業として地域経済を支えますほか、全国的に高く評価されるカツオブランドを生み出しまして、観光資源にもなっております。さらに、浦々においてカツオのタタキなどの食文化や、カツオにまつわる祭りや風習などの漁村文化を形づくってまいりました。このように、これらの漁業は経済面だけでなく、文化面でも本県に多くのものをもたらしてまいったというふうに認識しております。 本県のカツオ・マグロ漁業を次の世代につないでいくために、水産業からの視点だけではなくて、多角的な価値を評価するということは、非常に重要な視点であるというふうに受け止めております。 一方で、そうした価値を数値していくという点につきましては、技術的に難しい側面もございますので、まずは庁内の関係部局で検討チームを立ち上げまして、有識の協力もいただきながら検討を始めたいというふうに考えております。 次に、とさでん交通発足の評価についてお尋ねがございました。 議員からお話もございましたように、平成24年7月に、県議会公共交通問題調査特別委員会から、公共交通の在り方についての御提言をいただきました。この提言の中では、中央地域のバス路線の一元、地域の特性に応じた交通政策の実現、さらには県民の意識の高揚、県民運動への機運醸成などの点をお示しいただいております。 この提言から約2年後の平成26年10月に、経営統合によりまして、現在のとさでん交通が設立をされました。この経営統合は、中央地域公共交通再構築検討会の主導の下で、株主権の消滅、金融機関の債権放棄、行政からの10億円の出資など、官民の大きな痛みと負担を伴う形で行われたということは、御指摘あったとおりでございます。また、公共交通を担う主たる事業として、県民の期待を一身に背負って経営がスタートをいたしたところであります。 とさでん交通の発足の意義といたしまして、まずは、長年の懸案でありました中央地域での路線バス事業の一元が実現したということが上げられます。このような事例は、当時全国でも例がなく、一つの会社が路線バス事業を担うことによりまして、効率的で分かりやすい路線の再編が行われたという意義がございました。 また、バスの行き先を系統ごとに分かりやすく表示しましたバス停の整備、乗務員の接遇の改善など、利用へのサービスも向上しております。加えて、とさでん交通の経営陣や社員の皆様の御協力によりまして経営の収支が改善されまして、持続的な経営が可能となったということも、大きな成果であるというふうに考えます。 現在、コロナ禍におきまして、全国的にはバス会社の経営難からの合併あるいは共同経営に向けた動きも出始めているところであります。とさでん交通の設立は、こうした流れを、言わば先取りした面もあるというふうに考えまして、そうした面からも評価できるものというふうに考えております。 次に、今後の公共交通や、とさでん交通の課題への対応についてお尋ねがございました。 現在、コロナ禍によりまして、公共交通の事業は大変厳しい経営状況にあります。特に、県内の主たる事業でありますとさでん交通は、高速バスなどの収益部門の黒字によりまして公共交通部門の欠損を補填するという、従来の経営形態が成り立たなくなってきているという状況にございます。このため、今年度の補正予算で実行いたしましたとさでん交通の路線バスへの追加支援に加えまして、今議会では、市町村との協調によります路面電車への追加支援の予算案を提案させていただいております。 現在、とさでん交通は、コロナ禍にございましても、これまで以上のコスト削減など収支改善に取り組んでいるところであります。また、来年度には、コロナ後の経営指針となります今後5年間の中期経営計画の策定を検討されております。 こうしたことから、先ほど申し上げました、いわゆる再構築検討会の後継組織であります中央地域公共交通改善協議会という場がございますので、この場を通じまして関係市町村とともに、収支改善対策の実行あるいは中期経営計画の策定に関わってまいるということで、県としても関与してまいりたいと考えております。今後、中期経営計画で明らかになってまいります5か年の経営内容、そして行政の役割、こういったものを踏まえまして、令和4年度以降の支援の在り方を検討し、決定をしてまいります。 また、人口減少や車社会の浸透によります利用の減少が大きな課題でありました公共交通は、コロナ禍によって、さらに厳しさが増しているところでございます。このため、来年度の予算案には、公共交通問題調査特別委員会でお示しをいただきました県民の皆さんに意識して公共交通に乗車していただく、そうしたことに向けました啓発活動を強化するための経費を盛り込んでおるところであります。 こうした取組を通じまして、県民、交通事業、行政が一体となりまして、公共交通を守り育てる県民運動となりますように、機運の醸成につなげてまいりたいと考えております。 最後に、関勉先生がこれまで本県の子供たちの天文学習、天文研究家に与えた影響と、広い意味での貢献をどのように評価しているのかというお尋ねがございました。 関勉先生は、池谷・関すい星をはじめといたします6つの新すい星、223の小惑星を発見されるなど、高知県が誇ります世界有数の天文研究家であられます。フランス天文学会100周年記念賞をはじめといたしまして、数々の賞を受賞されておられます。その御功績や研究に向き合う姿勢は、国内外の研究に多大な影響を与えているというふうに認識をしております。 芸西天文学習館におきましては、子供たちに対して、関勉先生御自身の体験に基づきました貴重な天文観測のお話、観測方法の御指導を長年にわたって行っていただいております。また、天文観測に関する数々の著書は、県内のみならず全国の子供や青少年に宇宙のロマンと夢を抱かせたことと思います。子供時代の読書や天文観測の実体験から、宇宙や天文への興味を深めまして、将来の進路選択にも影響を受けた方々も数多くおられるということなどを見ましても、青少年の健全育成にも大きく寄与していただいたというふうに考えております。 こうした学術・文化・教育面の貢献だけではございませんで、小惑星の発見に際しましては、例えば、「はりまやばし」、「龍馬」など、高知にちなんだ名前を命名することで高知県の知名度を高めていただきました。私といたしましては、長年の地道な取組、そしてその御功績に心から敬意を表しますとともに、深く感謝を申し上げたいというふうに考えております。 関勉先生は、今月27日にオーテピアで、すい星の話を御講演されるとお聞きしております。また、本年6月には同じくオーテピアで、全国から多くのすい星ファンが集まりまして情報交換を行います第50回彗星会議が開催されますが、この会議でも御講演をされるとお聞きをいたしております。これからも世界中の人々に宇宙のロマンと夢を与え続けていただけたら、大変うれしく思うところであります。 私からは以上でございます。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、さらにきめ細やかな事業支援の検討についてお尋ねがございました。 昨年12月の営業時間短縮要請からの一連の協力金、給付金の制度設計に当たっては、事業の皆様や関係機関からの御意見、御要望をお聞きするとともに、昨年4月の休業等要請協力金や、7月に開始した事業規模に応じた給付金の検証も行いました。その上で、県の限られた財源の中で、厳しい状況にある方にいかに迅速で効果的な支援をしていくのかといった観点から検討を加え、制度設計したものでございます。これまでより、一段踏み込んだ支援を行うこととしており、まずは迅速な支給に努めてまいりたいと考えております。 こうしたことに加え、現在本県の感染状況が落ち着いていることから、お尋ねのありました第4波に向けた支援策については、現段階では、検討は行っていないところです。しかしながら、今後感染症が再度拡大傾向となった際には、改めて経済状況を把握し、事業の皆様のニーズもお聞きし、さらには今回の協力金等の検証も行った上で、時期を逸することのないよう検討をしてまいります。 次に、業種変更や異業種への参入など、幅広い視点から県内事業を支える取組についてお尋ねがございました。 県では、これまで産業振興センターや商工会、商工会議所と連携し、新たな製品、サービスの開発や新事業展開をサポートするなど、県内事業の様々なニーズに応じて、きめ細やかな支援を行ってまいりました。今般のコロナ禍においては、産業振興センターやよろず支援拠点の支援メニュー、また、国のものづくり補助金などを活用して、新たにネット販売や異なる事業分野での製品開発を始めるといった業態変更の事例も出てきております。 コロナ禍が長期する中で、消費の嗜好や社会の生活様式が不可逆的に変容し、市場ニーズが大きく変化することにより、業種の変更や異業種への参入を検討する事業も出てくるものと考えられます。こうした事業のニーズに応えていくためには、議員からお話のありましたように、幅広い視点からの事業支援が必要であると考えております。 そのために、まず単独の相談窓口のみで対応するのではなく、各分野の専門家が協力して支援を行っていくよう、関係機関の緊密な連携を一層徹底してまいります。その上で、例えば、地域の商工会や商工会議所に相談があった場合には、必要に応じて産業振興センターと連携して、専門家派遣や市場調査などへの支援を行ってまいります。加えて、国において新たに創設された中小企業等事業再構築促進事業を提案するなど、事業のニーズに合わせた伴走型支援を行ってまいります。また、異業種への参入の場合には、事業継承・引継ぎ支援センターなどとも連携し、MアンドAに向けたマッチングなども支援してまいります。 最後に、中小企業デジタル促進モデル事業における取組事例の横展開を図る仕組みについてお尋ねがございました。 この事業は、お話にもありましたように、モデル企業となる5社への伴走支援を通じて、中小企業の皆様がデジタルに取り組むきっかけとなるモデル事例を創出し、県内全域へ横展開しようとするものです。 取組事例の横展開につきましては、モデル企業それぞれの取組の過程や得られた効果などを検証、整理した上で、事例集の作成やホームページでの紹介、事業報告会の開催などを通じて行うことを計画しております。議員御指摘のとおり、企業秘密に当たる情報については、公開を前提としたモデル企業の事例とはいえ、慎重に取り扱う必要があるものと認識しております。 そのため、モデル企業を公募する際に、公にすることで企業の権利や競争上の地位、その他正当な利益を害することのない範囲で事例紹介に御協力いただくことについて、了承をいただいた上で参加いただいているところです。また、事例集の作成等の際には、企業秘密に該当する部分については一般的な表現に置き換えるなど、モデル企業に御迷惑をかけないよう、その取扱いには十分に配慮した上で、より効果的な事例紹介、横展開ができるよう取り組んでまいります。   (総務部長井上浩之君登壇) ◎総務部長(井上浩之君) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業に関する、市町村との情報共有の仕組みと今後の取組についてお尋ねがありました。 この交付金は、感染拡大防止とポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現を目指して活用するものでございます。その有効活用に向けましては、各市町村が交付金を活用して行う予定の事業を県が取りまとめして、全ての市町村に情報提供を行っているところであります。お話にありました土佐清水市の事例はもとより、宿毛市の地域振興券の取組も、地域での消費喚起に加え、マイナンバーカードの取得促進にも寄与するものでございまして、こうした取組も全市町村に共有をしているところであります。 また、内閣府が取りまとめております全国の活用事例についても、市町村との情報共有を併せて行っております。さらに、交付金を活用した経済影響対策につきましては、市長会からの御要望も踏まえまして、昨年8月に県、市町村による情報交換会を開催いたしまして、今後の対策などについて意見交換も行ったところであります。こうした取組を通じて、共有した事業を参考に、市町村が地域の実情に応じて創意工夫を行い、交付金を活用した事業に取り組まれておるものと考えておるところであります。 また、県が直接行う経済対策につきましては、事前に市町村に情報提供しておりまして、例えば、昨年春の全国第1波の際の休業等要請協力金、あるいは年末年始の営業時間短縮要請協力金では、多くの市町村が県事業への金額の上乗せ、あるいは県の対象外となる事業への支援などを行っていただきまして、金額、対象ともに厚みのある事業になったものと考えております。 コロナ禍に打ちかつためには、何より県と市町村の連携が重要だと思っておりますので、これまでの県、市町村の取組の実績や効果を検証した上で、さらにそうしたことも情報共有を行いまして、次なる感染の波が発生した場合にしっかり備えてまいりたいと考えております。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 高知医療センターのバックアップ体制について、現在の取組と今後の方向性についてお尋ねがございました。 お話がありましたように、高知医療センターは、高度医療や三次救急医療を担う本県の基幹的医療機関でありますので、新型コロナウイルスの患者を受け入れつつ、その本来の医療機能をできる限り維持していただくことが期待されます。そこで、まずは新型コロナウイルス感染症への対応において、重症患者が高知医療センターだけに集中して、過度の負担にならないような工夫が必要です。 知事がお答えしましたように、重症リスクの高い患者を医療センター以外の2つの重症患者に対応する医療機関でも分担していただくよう、県と3つの医療機関との間で連携手順等の実務的な協議に着手をしているところでございます。一方、こちらは平時からになりますけれども、がんや脳卒中、小児周産期、救急といった分野ごとに、保健医療計画において機能に応じてそれぞれ核となる医療機関を明示し、医療連携体制を定めてバックアップにもつながる役割分担を図っているところです。 こうした重症患者への対応の取組や、医療センターを含めた高度医療や三次救急といった医療機能の役割分担については、あらかじめ定めたことがいざというときにきちんと機能するよう、県として関係医療機関との調整をしっかりと行い、今後に備えてまいりたいと思っております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、教育のデジタルに係る保護への広報についてお尋ねがございました。 1人1台タブレット端末の整備や各教室等への高速Wi-Fi環境の整備など、学校教育が大きな転換を迎える中、教育のデジタルの意義や目的を、子供たちやその保護に御理解いただきながら進めていくことが大変重要だというふうに考えております。 このため、県教育委員会では、テレビの広報特別番組の中で教育のデジタルについて取り上げましたほか、広報紙さんSUN高知の3月号、今月号ですけれども、ではデジタル社会に向けた教育の推進について特集を組み、学校がどのように変わっていくかについて、ICTを活用した授業の風景なども掲載しながら周知を図っているところでございます。 加えて、児童生徒が発表資料を作成するためのソフトや、自宅で遠隔授業を受けるための機能を備えた教育用アプリケーションの利用に必要となります児童生徒用アカウントの配付に当たりましては、県立学校においては保護向けに作成しましたチラシを用いまして、機能や活用方法、個人情報の扱いなどを示し、同意を得た上で運用することとしており、各市町村に対しても同様の対応を依頼しているところでございます。 令和3年度には、広報による周知に加えまして、11月の「志・とさ学びの日」の関連行事として、ICT教育に関するフォーラムの開催も予定しておりまして、これらのイベントに加え、PTA連合会等とも連携しながら、様々な機会を捉えて保護の皆様に、学校における教育のデジタルの推進について御理解をいただけるよう取り組んでまいります。 また、市町村教育委員会との情報共有を徹底し、各市町村や学校が、保護から直接寄せられる質問等に適切に対応していけるよう、支援してまいりたいと考えております。 次に、タブレット端末の家庭への持ち帰りと紛失等の場合の対応についてお尋ねがございました。 本年1月に出されました中央教育審議会の答申におきましては、各学校段階において、端末の家庭への持ち帰りを可能とすることが望まれるとされておりまして、授業と家庭学習で一貫した学びを可能とするためにも、県教育委員会としても、家庭への持ち帰りは意義があると考えております。 市町村立の小中学校において、家庭への持ち帰りを認めるか否かの判断は、それぞれの市町村が行うことになりますが、文部科学省において、家庭への持ち帰りに関する自治体向けのQ&Aを年度内に発出する予定であると聞いており、市町村における検討に資するよう、こうした内容の周知を図ってまいります。 GIGAスクール構想により整備したタブレット端末につきましては、児童生徒が学校から貸与されることとなります。故障などのトラブルが生じた場合、事業の保証内容は市町村によって異なるものの、県と共同調達を実施した市町村におきましては、通常の利用時の故障につきましては、契約に基づき5年間無償で対応されることとなっております。紛失など、事業の保証が適用されない場合については、個別の事案ごとに判断していくものと想定していますが、あらかじめ児童生徒や保護に対して、注意点などを共有しておくことが重要であるというふうに考えております。 県教育委員会としましては、国とも連携して、他県の取組例の周知を図るなど、市町村における対応を支援してまいりたいと考えております。 次に、タブレットのデータの取扱いについてお尋ねがございました。 来年度から、1人1台端末環境の下、教育用アプリケーションの運用が開始されることで、オンラインドリルで学んだ履歴などがネットワークを通じて、セキュリティーが確保されているクラウド上のサーバーに蓄積されることになります。これは、クラウドサービスの利用を推進している国の方針にも沿った対応になると考えております。 児童生徒がタブレットを活用することによってクラウド上に蓄積される日々の学習履歴等は、学校または児童生徒が有することになりますが、これを児童生徒が転校や進学の際に他校へ引き継ぐ場合には、当該児童生徒の同意などが必要であると考えております。同意が得られた場合、県内の公立学校間であれば、学習履歴等の引継ぎが可能となるため、学習指導の充実等に活用してまいりたいと考えております。引継ぎ先が私立の学校の場合などにつきましては、引継ぎの必要性や情報の活用方法などについて関係の意見もお聞きしながら、その在り方を検討してまいりたいというふうに考えております。 次に、芸西天文学習館における学習体験の拡充と、指導ともなる天文研究家の育成についてのこれまでの取組についてお尋ねがございました。 芸西天文学習館では、関勉先生をはじめとする講師の皆さんの御協力により、長年にわたり季節ごとの観測会や天文教室など、実際の星空を通して専門的な天文学習を体験できる場を提供してまいりました。平成16年2月県議会の教育長答弁以降では、平成17年度から県の委託事業の中で、より高度な観測技術を知ることにより自然科学に興味を持つ子供を育てる、高知こどもアストロクラブを実施してまいりました。また、平成20年3月には、老朽しておりました望遠鏡を更新し、学習体験の拡充と設備の充実に取り組んでまいりました。 一方、これまで県として、直接指導を育成する取組は行っておりませんが、関勉先生をはじめとする講師の皆様の御協力により、観測会や天文教室等の事業を継続することができております。また、高知みらい科学館の開館後は、科学館の学芸員にも芸西天文学習館の講師を務めていただいており、講師同士の相互のスキルアップが図られているところでございます。さらに、プラネタリウムの番組においては、関勉先生の業績とともに、芸西天文学習館とその事業を紹介し、観測会などへの参加を呼びかけるなど、連携したPRも行っております。 今後も、引き続き学習体験の場を提供するという施設としての役割をしっかり果たしながら、芸西天文学習館での天体観測体験を入り口として、高知みらい科学館とも連携しながら、広く宇宙や自然科学に興味を持つ子供が育っていくよう取り組んでまいります。 最後に、天文学習館の施設の整備とバリアフリーについて、現在の考え方についてお尋ねがございました。 まず、駐車場から天文学習館への進入路は、上り下りを含むおおむね60メートルの坂道となっており、舗装はしているものの、途中には手すりのない階段があるなど、議員御指摘のとおり、バリアフリーとはなっておりません。しかしながら、もとより山中の立地であり、これらを全面的にバリアフリーするためには大規模な造成が必要となりますことから、現時点におきましては、実施はなかなか難しいというふうに考えております。 なお、平成27年度には学習館とドームの間の階段に手すりを新設、平成29年度には進入路のソーラー照明を更新するなどの対応をしてきております。これら以外にも、手すりやフェンスの設置が望ましいと考えられる箇所もありますので、引き続き必要な対応をしてまいります。 他方、学習館本体につきましては、昨年度雨漏り対策として屋根の修繕を実施するなど、これまでも不具合があれば、その都度修繕対応をしてまいりました。建築士にも施設を見ていただきましたが、小まめにメンテナンスがされており、築40年ではありますが、内外装材及び設備機器等の状態は良好であるとのことでした。今後も、利用の学習体験に支障がないよう必要な対策を行ってまいります。   (水産振興部長田中宏治君登壇) ◎水産振興部長(田中宏治君) まず、カツオ・マグロ漁業の振興に向けた事業戦略の策定への支援についてお尋ねがございました。 カツオ・マグロ漁業は、燃油価格の高止まりや資源の減少などにより厳しい経営状況が続いており、これらの漁業を存続していくためには、事業に経営の健全に取り組んでいただくことが必要です。 このため、より多くの事業に経営の改善に向けて事業戦略を策定していただきたいと考えており、まずは策定を希望される事業に事業戦略を策定していただくこととしております。その他の事業につきましても、漁協や関係団体と連携しまして、個々の事業を個別に訪問し、事業戦略の必要性や取組事例を丁寧に説明することで理解を深めていただき、事業戦略の策定に取り組んでいただきたいと考えておりまして、その策定につきましても、しっかりと支援をしてまいります。 次に、カツオ・マグロ漁業における特定技能制度の運用に係る申合せの要件緩和についてお尋ねがございました。 本県のカツオ・マグロ漁業においては、外国人技能実習制度を活用して実習生を受け入れており、日本人船員の不足を補っております。しかしながら、慢性的な人手不足は解消できておらず、今年度実施しましたカツオ・マグロ漁業への聞き取りでは、在留資格や在留期間の面で有利な特定技能外国人の受入れに期待する声が多く聞かれました。 そうした中、本年1月には、高知かつお漁協が特定技能外国人の受入れを支援する登録支援機関となりましたほか、近海カツオ漁船が今漁期から本県漁業分野では初となる特定技能外国人を雇用して操業を開始するなど、制度の活用が始まりました。 御指摘のありました漁業特定技能協議会の申合せの要件につきましては、日本人船員の後継育成という観点も踏まえ、業界内で一定のルールづくりをする中で合意された内容と承知しております。 しかしながら、日本人船員の確保がますます難しくなる中、外国人船員の重要性はこれまで以上に高まってくると考えられますので、県内業界団体や漁業の意見を十分にお聞きし、その要件緩和について、国や協議会へ要請を行ってまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、とさでん交通の事業再生計画をどのように総括するのかとのお尋ねがございました。 とさでん交通は、平成26年10月から令和2年3月を計画期間として、企業の中期経営計画に当たります事業再生計画を策定いたしました。これまで計画に沿った経営が行われてきましたが、特に大きな成果として3つ挙げられると考えております。 1つ目は、経営収支の改善です。5年半の計画期間における純損益の累計が、計画では1億300万円の赤字のところ、実績では4億2,500万円の黒字となっております。残念ながら、令和元年度の純損益は、新型コロナウイルスの影響を受けまして、6,900万円の赤字となりましたが、令和元年度以外は、4期連続で黒字を計上するなど、十分評価できる内容となっております。 2つ目は、設備投資の拡充です。路線バスと路面電車の利用客の安全・安心と利便性向上のため、最低でも12億円の設備投資が必要でした。計画期間の累計で、これを6億3,700万円上回る18 億3,700万円の設備投資が行われております。 3つ目は、借入金の返済です。会社設立時に承継しました37億6,000万円の借入金について、計画を1億6,900万円上回る返済を行い、借入金の残高を25億1,400万円まで減少させております。これは、会社の経営努力を金融機関に示すとともに、支払い利息の削減にもつながっております。 このように、とさでん交通は、経営指針としてきた事業再生計画を上回る実績を残し、この5年半で着実な成果を上げ、本県中央地域の公共交通を支えていただいております。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けておりますので、県民の皆様の生活を守り、公共交通を維持する観点から、関係市町村と連携して今後の支援の在り方を検討してまいります。 次に、集落活動センターの経済活動についてお尋ねがございました。 集落活動センターの活動には、地域の課題やニーズに応じて、福祉や防災、生活支援といった支え合いの活動と、農作物の生産や特産品づくり、観光交流事業などの経済的な活動、大きく2つの分野があります。 本年度、中山間総合対策本部では、センターの継続的な運営をテーマに協議を行い、収入の確保が課題となっていることを共有いたしました。その一つの対策として、新たな活動に取り組んでみたいという地域のニーズに応じて、より柔軟に活用できる補助金制度の見直しを行うこととしたところです。 現在、各地域の集落活動センターでは経済的な活動として、杉苗の生産、宿泊体験事業、原木マイタケやイタドリの生産を通じて収入を得ながら、地域の方々が生き生きと活動されております。 県といたしましても、今後とも、各地域での経済的な活動がより拡充し、センターの継続的な運営と若者が住み続けられる中山間地域の実現を目指してまいります。このため、地域支援企画員が寄り添い、補助金による支援と併せまして、アドバイザー派遣による伴走支援など、センターの活動をしっかりとサポートしてまいります。 最後に、集落活動センターを支える人材の確保についてお尋ねがございました。 人口減少や高齢が進む中山間地域において、集落活動センターの活動を継続していくためには、センターを支える人材を確保することが重要な課題であると考えております。このため県では、外部人材の導入策として、地域おこし協力隊制度などの活用や県内大学との連携を進めてまいりました。 その結果、現在集落活動センターでは、地域おこし協力隊と集落支援員、合わせて63名の方が活動の担い手として活躍をされております。また、県内大学生のフィールドワークや研究の場として受入れすることで、若い世代の感性や行動力を地域課題の解決につなげるなど、外部人材の活用が地域の活力の向上に寄与する事例も生まれてきております。 一方で、センターの継続的な運営を考えたとき、こうした外部人材の確保だけでなく、地域内の人材をいかにして発掘、育成していくのかということが大切なポイントになります。このため、センターでは若者との交流会や地域イベントの開催、センター事業への地域住民の参画の促進など、工夫を凝らして人材の確保に取り組まれているところです。 県といたしましては、引き続き地域おこし協力隊など外部人材の確保に努めてまいります。また、県内外の方に集落活動センターに関心や興味を持ってもらえるよう、SNSでの情報発信を行うほか、特産品販売会や物産交流イベントの機会を設けることで、関係人口を創出し、集落活動センターの人材の確保につなげてまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 中山間の振興に資する人材の確保に関しまして、産業振興推進地域本部が担う役割についてのお尋ねがございました。 地域本部は、県と地域をつなぐパイプ役として、地域のニーズや思いを酌みながら、地域の振興や活性に向けた取組を支援しますとともに、県の政策を地域にお伝えし、実行、支援していくという役割を担っております。その活動の中心となりますのが、経済活動への支援であります。 具体的には、地域アクションプランにおける地域の加工品づくりや観光資源の磨き上げ、さらには集落活動センターの立ち上げや運営など、個々の課題に寄り添ったサポートを行っております。また、市町村が実行する様々なプロジェクトには構想の段階から参画し、専門家の派遣や支援制度の紹介、事業計画づくりの支援など、その実現に向け、様々なサポートをしております。 議員のお話にもありましたとおり、こうした取組を具体的な形にし、成功させるためには、地域に不足している担い手、特にビジネスのノウハウやスキル、外部とのネットワークを持った人材の確保が重要であると認識をしております。そのため、地域本部では、事業へのサポートする中で人材ニーズを把握し、マッチングを行います移住促進・人材確保センターにつなげますとともに、地域の産業振興を牽引する人材を育成するため、土佐まるごとビジネスアカデミーやこうちスタートアップパークなどの学びの場の紹介や、地域が主体となった研修事業ヘの支援なども行っております。 加えまして、コロナ禍を契機に兼業や副業を認める企業が増えますとともに、自分が培ったスキルを社会に役立てたいという方も大勢おられますので、今後、こうした人材に御活躍いただけるよう、地域の人材ニーズを掘り起こすサポートにも取り組みたいと考えております。 また、中山間など、繁忙期の人手が確保できない、安定した雇用機会が提供できない、求人しても応募がないといった課題を抱える人口急減地域におきまして、季節ごとの労働需要に応じて複数の事業に従事する労働の派遣事業を行う場合に、財政支援が受けられます特定地域づくり事業協同組合制度の積極的な活用を促してまいります。また、任期が終了する地域おこし協力隊の定着に向けたサポートにも取り組んでまいりたいと考えております。 さらに、事業の採算性や熟度などから、直ちに人材を確保できないケースにおきましては、専門家を派遣して課題解決を図ったり、地域外の事業との連携によって担い手不足を補ったりするなど、地域の経済活動がさらに活発になるための取組を地域本部の重要な役割として担ってまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 県史編さん事業に関わる人材の確保などについてお尋ねがございました。 新たな高知県史の編さん事業につきましては、まずは来年度、県史編さん室を設置し、県内全域を対象とした資料の所在調査を行った上で、令和4年度以降、各分野の専門部会を順次設置するとともに、県史編さん室の体制の充実も検討してまいりたいと考えております。 県史編さん室に配置する職員には、歴史学をはじめ考古学や民俗学など関連領域に関する知識や、歴史資料の調査分析を行うための専門性などが必要となります。このため、新規採用職員も含めた適任の配置のほか、学芸員など専門職員を擁する歴史系博物館との人事交流などによることも含め、意欲と能力を有する人材の確保に努めてまいりたいと考えております。 あわせまして、県内外の大学や歴史系博物館などの研究機関、地域の歴史の調査研究団体、さらには市町村の図書館や文化施設など多くの関係の皆様に、資料の調査や原稿の執筆などへの御協力をお願いし、県史編さん事業を支えていただく体制も構築してまいりたいと考えております。 また、極めて長期間にわたる県史編さん事業について、継続性を保ちながら円滑に実施してまいりますためにも、先ほど申し上げました県史編さん室の体制や、事業を支えていただく体制の構築を図る際には、若い世代の方々の確保に努めてまいりたいと考えております。 さらには、県史編さんの過程において、適時、講演会や出前授業、ニュースレターの発行などにより、県民の皆様に、その時々までの成果をお示しし郷土への愛着と歴史ヘの関心を高めていただきますとともに、高校生や大学生の方々に資料調査や目録の作成、ニュースレターの編集など、県史の編さんに直接参加していただくなど、将来における本県の歴史研究を支える人材の育成にもつなげてまいりたいと考えております。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、牧野植物園の駐車場についてお尋ねがございました。 県の主要な観光施設であり、磨き上げ整備により入園数の増を目指す牧野植物園にとって、駐車場問題は重要な課題と考えております。県有地には適切な造成場所がないため、これまで植物園の隣接地の地権と協議を重ねながら、複数の案を検討しているところでございます。今後、これらの案の中で、地権の御理解をいただきながら、来園の利便性や費用対効果の高い方法をできるだけ早急に選定し、磨き上げ整備を進める中で、少しでも多くの台数を確保していきたいと考えております。 次に、牧野植物園長江圃場の高台移転についてのお尋ねがございました。 長江圃場に関しましては、管理運営上、園の周辺ヘの配置が必要ですが、急傾斜地が多いなど、全面移転できる敷地の確保が厳しい状況でございます。このため、今回の磨き上げ整備におきましては、まずは、一部であっても早期に移転することを優先し、保存している植物の中で優先順位をつけて、園の周辺の高台に移転することとしております。 今年度の調査では、移転候補地の測量を行い、斜面の地形を確認しております。来年度は、基本設計業務において造成計画を作成いたしますが、できるだけ広い敷地を確保できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。その後、実施設計、敷地造成、温室設置等を順次進め、令和5年度中には、優先順位の高い植物を移転させてまいりたいと考えております。 なお、長江圃場の植物につきましては、新園地の造成に合わせて既に移植を行っているものもございます。また、今後予定しております南園の再整備を進める際にも、養生スペースを設けるなど、できるだけ多くの植物を移転させる考えでございます。残りの植物の移転につきましては、ほかに造成可能な土地がないか、周辺の方々の御意見もお伺いしながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆25番(大石宗君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 特にその中で、カツオ、マグロの問題ととさでん交通の問題、今日御答弁いただきましたけれども、共になくなってしまったら、高知県にも影響がある大変重要な問題だと思いますので、今日いただいた取組をぜひ前進させていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。 その上で、第2問ですけれども、市町村との連携の中で、市町村長さんから、ある御意見をいただきました。 県の取組、高く評価している一つが、いわゆる知事だけでなく、各担当部長の皆さんと意見交換する機会が以前は年に1回ほどあったということで、県の事業についても非常によく理解ができたということですが、このコロナが始まってから、部長の皆さんが県内の市町村の役場を訪問するということについては、少し回数が減っているのではないかと、非常にいい取組だったので、継続してもらいたいというお話がありました。 知事、ぜひこういった部長との連携というのも深めていただきたいと思いますが、いかがお考えか、お伺いをしたいと思います。 そして、集落活動センターの経済活動について、尾下部長、それから沖本部長からも御答弁いただきましたが、これは非常に重要な点だというふうに思います。経済活動、難しいけれども、何としてでも成果を出すと、こういう気持ちが大事だと思いますけれども、改めて2人の部長の答弁もいただきましたので、知事に、このセンターの経済活動についてどう思われているか、お伺いをしたいと思います。 それから最後、牧野につきまして、駐車場は少し山崎議員の答弁と、ほとんど同じような答弁でしたけれども、立体駐車場とかいろんな工夫がありますけれども、どうするのか。そして、長江の圃場についても検討するということでしたけれども、じゃ、検討した結果駄目だったら、どうなるのかということもあろうかと思います。本当に全面移転するという気持ちでやっていくのかどうか、林業振興・環境部長にもう一度お伺いして、第2問とさせていただきます。 ◎知事(濱田省司君) 大石議員の再質問にお答えいたします。 まず、市町村との連携に関連いたしまして、各部局長との市町村長さんとの意見交換の機会をということでございました。 お話もございましたように、本年度は特にコロナ禍で様々な会議等の開催が思うようにまいらなかったというふうな事情もあるかと思いますので、感染状況も注視をしながらでありますが、いろんな工夫をいたしまして、できる限り、部局長も市町村長さん方と直接の意見交換できるような機会を設けるように、必要であればリモートなども含めて考えてもいいのではないかと思いますが、これは検討させたいというふうに思います。 もう一点は、集落活動センターの経済活動でございますが、これは集落活動センター、そして各地域、中山間地域におきまして、特に若い方が、定住ができるという点におきましては、こういった経済活動というのが大きな希望の光でもございますし、大きな原動力になっていく部分ということだと思います。 おっしゃいましたように、なかなか一朝一夕で、かつあらゆるケースについてどんどんうまくいくというものではないと思いますけれども、やはりチャレンジなしでは前へ進んでいかないということだと思いますので、いろんな試行錯誤をしていく部分もあろうかと思いますが、何とか経済的な事業の自立に向けて、一歩でも二歩でも前進させていくというところをサポートしていくという観点に立ちまして、しっかりと応援をしてまいりたいと思います。 ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、駐車場の問題につきましてでございますけれども、選択肢としては、立体駐車場というところも含めて検討は進めております。ただ、やはり費用対効果といったところで、1台当たりどれぐらいの経費になるのか、一番効果的な方法を今検討させていただいております。 また、特に地権、また竹林寺さんの御意見、こういったところも踏まえまして慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 また、長江圃場の保存植物の高台移転の件でございますが、現在は、今回の磨き上げ整備の中で移転できるのは一部にとどまるというところでございますが、引き続き用地の中でどこが拡張できるのか、こういったところはしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 時間的には、少しかかるかと思っておりますけれども、引き続き全面的に必要なものは全て移転させるという方針で検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆25番(大石宗君) 最後に、岩城副知事、この議場で昔、中内知事の話をして、ようって手を挙げてくれてすごく人間的だったというお話しいただきましたけれども、本当に岩城副知事も、そういった人間味のあるすばらしい副知事だったと思います。これまでの御苦労に、本当に感謝を申し上げて、一切の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内健君) 暫時休憩いたします。   午後3時7分休憩-----------------------------------   午後3時30分再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 1番上治堂司君。   (1番上治堂司君登壇) ◆1番(上治堂司君) 自民党会派の上治堂司であります。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。 冒頭に、今回の新型コロナウイルス感染症で、残念ながらお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療されておられます方々の一日も早い御回復をお祈りいたします。そして、厳しい環境の中で日夜新型コロナウイルス感染症の対応に関わっておられます医療機関の皆様をはじめ、関係の方々に心からお礼と感謝を申し上げます。 さて、去る1月19日に行われました新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で、高知医療センター病院長の島田様から、医療現場の現状と課題について貴重なお話を伺うことができました。その内容は、第1波、第2波は医療機関として受入れの対応はできていたが、第3波は、12月に入り感染が急増したため、一般の救急患者の受入れの検討、1病棟の閉鎖、一般救急ICUの使用や、新型コロナウイルス感染症対応の看護師を確保するための勤務体制など、緊迫した中で患者の受入れの対応を行ったということでありました。 そうした中で、12月12日から無症状、軽症の患者を受け入れる療養施設として協力していただきました民間ホテルや、医療スタッフの懸命の努力により、第3波での医療崩壊を防ぐことができたという報告を聞いたところであります。重ねまして、医療機関の関係、そしてホテルを療養施設として協力していただきました高知サンライズホテルの経営の皆様に、心からお礼と感謝を申し上げます。 そこでまず、知事の新型コロナウイルス感染症に対する政治姿勢についてです。 高知県は、県内における新型コロナウイルス感染症対応のステージを5段階に決めています。第1波以降第2波までの間は、全国に比べて感染数が少なく、ステージはレベルⅠの感染観察、レベルⅡの注意と、比較的落ち着いた期間が長く続いておりました。しかし、12月に入り、第3波では感染が急増し、注意からレベルⅢの警戒、そして12月9日にはレベルⅣの特別警戒にステージを引上げ、対応したことでした。 知事は、全国でも感染数が10万人当たりで高い水準になったことや特別警戒の状況から、県民に対して、涙ながらに感染拡大防止への協力をお願いし、国の緊急事態宣言が発出される前に、県独自による飲食店等への営業時間の協力要請、それに伴う協力金の支給など、いち早く対策を行いました。そしてその結果、1月22日にはステージが警戒に引き下げられ、2月22日には注意となり、最近では感染ゼロが11日連続となり、3月1日にレベルⅠの感染観察になったところであります。 第3波で感染数が急増した要因について、京都大学研究チームが、国の経済対策の一つとして昨年7月22日に始まった観光支援事業Go To Travelの開始後に、旅行に関連する新型コロナウイルス感染が最大6から7倍増加したとの分析結果を、国際医学誌に発表しました。高知県においても、多くの県外客が本県に観光等で来られ、様々な機会で接触されたことが、第3波の急増につながったとも考えられます。 また一方で、Go To Travelの開始により多くの観光客等が県外から来られたことにより、宿泊施設、飲食業をはじめ、農業、漁業と、関連する多くの業種が回復してきたことも事実であります。しかし、現在は、今年1月に発令された国の緊急事態宣言によりGo To Travelが一時中止になったことで、県内の宿泊施設、飲食業等は大変な落ち込みとなっております。 新型コロナウイルス感染症対策は、医療崩壊を招きかねない観点から、感染予防、感染拡大防止は重要であります。また、本県の経済を考えますと、Go To Travelのような経済対策も必要となってきます。 感染拡大防止と経済対策は、相反する施策で大変難しいと思いますが、県民の命と生活を守るという意味で、改めて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、知事は、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないという強い思いを持って、県政の各政策において、中山間振興を念頭に置いた取組を進めています。その取組をさらに進めていくために、県内34市町村を回って県民の皆様との意見交換、県民座談会「濱田が参りました」を昨年6月にスタートしました。この県民座談会は、土佐市を皮切りに2月末までに30市町村を訪問し、残り4市町村を3月に訪問して、令和2年度に一巡する予定となっています。 座談会では、農業、林業、水産業、観光、教育、福祉、防災、集落活動センターなど、それぞれの分野で活動している方々が発言として参加し、活動の取組の現状と課題、そして将来の展開、目標などについて発表されました。知事は、意見交換の場で発言が発言しやすい雰囲気をつくり、忌憚のない意見を引き出しており、意義のある会だと感じました。私も、中芸地域5町村で行われました県民座談会に参加し、それぞれの立場から発言の生の声を聞かせていただき、大いに勉強になったところです。 知事は、県民座談会での感想を、中山間地域など条件の厳しい地域において様々な課題に真正面から取り組んでいて、そして創意工夫を凝らしながら解決に向けて真摯に立ち向かっているという姿に接し、大いに感銘したと述べられています。 本県の中山間地域は、少子高齢が進み、社会的要因による人口減少で過疎のスピードが速く、また道路整備や公共交通網等が十分でなく、条件不利地域が多くあります。しかし、風土とともに歴史ある地域の文化、伝統行事などを守りながら、先人の方々が大事に守り育ててきました地域の資源を生かして、農業、林業、水産業や観光振興などの産業振興に全力で取り組み、地域づくりを行っています。高知県は、東西に長く、また山間部、海岸部と、地域によって様々な課題が山積しています。 「濱田が参りました」を行って、発言からいただいた多くの意見や感じた点を、令和3年度予算編成に当たって、どのように生かして中山間地域の活性につなげようとしたのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、国の観光支援事業Go To Travelに上乗せして、県内の観光を促進する高知観光リカバリーキャンペーン、高知に泊まって交通費最大5,000円のキャッシュバックを令和2年7月22日から開始し、多くの方々が県外から本県に訪れ、経済効果は上がったことと思います。 まず、この高知観光リカバリーキャンペーンについて、利用された方の県内外別や交通費用別の利用状況も踏まえ、どのように評価されているのか、知事にお伺いいたします。 次に、県境をまたぐ移動は、新型コロナウイルス感染拡大の要因にもなっていることから、県内で県民が観光、宿泊などを行うことは感染リスクも少なく、また少しでも経済の支えになっていくものと考えられます。 県の令和3年1月専決予算では、県内在住の県内観光を促進するキャンペーンで4点の経済影響対策を行うこととしていますが、その中には高知観光リカバリーキャンペーンで、県内在住が県内宿泊施設に宿泊する場合を対象に、交通費として最大5,000円を助成することが含まれています。これまでリカバリーキャンペーンについては、現在全国一斉に停止している国のGo To Travel事業に連動して展開されてきましたが、その再開を待たずして県民向けに適用されるキャンペーンは、大いに評価をするところであります。 一方で、このリカバリーキャンペーンの助成対象は、公共交通の利用料金のほか、マイカー利用の場合には高速道路料金は含まれているものの、証明手続など事務処理の課題もあるということで、燃料代は含まれていません。 高知県内、特に郡部では、公共交通網は十分整備されてなく、観光などで移動する場合は、多くの県民はマイカーを利用している状況であります。こうした実態に照らせば、課題はあるといえども、例えば燃料代を助成対象にするなど、もう一工夫があれば、県内観光の需要回復にもつながるのではないかと考えます。鳥取県では、観光客誘致を促進する狙いとして、密を避けるためやマイカーを利用した旅行が多くなっていることから、ガソリンクーポン券を配るキャンペーンをしているということであります。 高知家応援プロジェクトの県内在住対象のキャンペーンは、いよいよ今月8日からスタートします。1月の専決予算ではこのリカバリーキャンペーンも、国のGo To Travel事業に連動するために実施期間を6月末までと延長されたところです。しかし、このコロナ禍の中での観光の取組は、さらに先を見据えての検討が必要だと考えます。 マイカー利用をはじめ県内在住向けの助成も含めて、国のGo To Travelや県のリカバリーキャンペーンが終了した後の観光需要の喚起対策をどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。 次に、林業振興についてお伺いします。 まず、産業振興計画の林業分野において、産業成長戦略の令和3年度強化ポイントの中で、目指す姿を山で若者が働く全国有数の国産材産地として、様々な取組を行うこととしています。その中で、原木生産の拡大においては、川下の需要に応じた弾力的な原木生産と、持続可能な森づくりを推進することになっています。 本県は、県土の84%が林野であり、民有林の人工林のうち、45年生を超える森林は80%を占めており、森林資源は充実している状況です。県の戦略目標では、民有林の原木生産量を、令和5年に59万立方メートル、令和11年に65万立方メートルと設定しており、その内訳は、皆伐を6割、間伐を4割として計画しています。皆伐した場合、1ヘクタール当たりの生産量は約420立方メートル見込める試算となっていますので、計算上では、令和5年に約840ヘクタール、令和11年に約920ヘクタールの面積を皆伐することになります。 現在、皆伐後の再造林の状況は、保安林を含めて約4割程度ということですので、今のままでの再造林率で進んだ場合、令和5年に約500ヘクタール、令和11年に約550ヘクタールの山に、植林がされていない状況となります。県は、皆伐と再造林の促進として、皆伐に必要な作業道などの整備、再造林への支援、低コスト育林の推進など様々な支援と取組を行っていますが、現状は再造林が進んでなく、このまま将来に向けて皆伐後の再造林が進まなかった場合、日本一の森林率である本県の山は大変な状況になりはしないかと心配するところです。 県では、再造林の進まない原因は分析されていることと思いますが、一つには、再造林の施業で地ごしらえに相当の労働負荷がかかり、事業費面でなかなか厳しいというお話を聞いております。山は、植林されてこそ、水源の涵養や国土保全など公益的機能が発揮され、逆に植林されなかったら、豪雨などにより山崩れなど災害の要因となってきます。 県が戦略目標で掲げている再造林の面積は、令和5年に630ヘクタール、令和11年に690ヘクタールと、皆伐後の再造林の割合を、現在の約4割から約7割と非常に高く設定をしております。もちろんそのことは、まさにSDGsの理念に沿ったものであると思います。 令和3年度の再造林促進の中に、新規として持続可能な森づくりの推進とありますが、再造林率の高い目標に向けてどのような取組を始めていくのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、中小製材事業体の育成についてお伺いします。製材事業体を取り巻く状況は、主要な木材の需要先である住宅分野において、少子等の影響もあり、新設住宅着工数は減少しており、加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、木材需要の先行きは不透明な状況となっております。 本県の製材事業体は88工場あり、そのうち中小規模の工場は75で、85%を占めています。中小の製材事業体は、地域の雇用や川上、川下の関係と連携し、大工、工務店への木材供給を担うなど、地域に密着した生産活動を行っている事業体が数多くあります。また、大規模工場が扱うことのできない手間のかかる製材品の生産や、さらには消費のニーズに対応した小回りの利くサービスなど、その特徴を生かした事業を展開しています。 このように、中小製材事業体が果たす役割は非常に大きく、中山間地域の振興のためには、中小の製材事業体を地域で存続させることが重要であり、経営基盤の強化や、品質の確かな製材品の供給体制の整備を図る必要があると思います。 県では、製材事業体における加工施設の整備に加え、経営力の強化に向けて、事業戦略の策定、実践の支援など、ハード・ソフトの両面から支援を実施しております。その事業戦略の策定は平成29年度から始め、経営コンサルタントによる経営分析や社員面談により現状を把握し、改善点の洗い出しと改善に向けた方向性を明らかにするとともに、数値目標の設定を行い、令和2年度までに11事業体が実施をいたしました。また、令和2年度には8事業体の実践に支援が入っていて、経営コンサルタントによる毎月実施する訪問指導等を通じて、PDCAサイクルを回しながら、事業体ごとの課題解決に向けた取組をきめ細かに支援しているところであります。 こうした取組によりまして、私の地元の製材事業体では、役員、従業員のそれぞれが生産性の向上や仕入れ管理など経営目標の達成に向け、共通の認識を持って業務に当たり、役職員の意識改革や収支の改善など、成果も少しずつ出てきていると聞いております。今後、成果の出始めた事業戦略の取組を、安定した経営や事業承継にしっかりとつないでいくためには、それぞれの製材事業体が、この取組を継続していくことが肝要であると思います。 そこで、3年間の事業戦略実践の支援期間が終了した後にも、事業戦略に取り組んだ中小製材事業体について、県としてどのように支援していくのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてお伺いします。近年、地球温暖による異常気象や環境の変化で、大災害が世界各地で発生しており、その対策の一つとして、2015年に世界の気温上昇を抑えることを目標に定めたパリ協定が採択されたところです。 菅総理は、所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。本県におきましては、さきの12月議会定例会において知事が、2050年のカーボンニュートラルを目指すことを宣言されました。全国では、令和3年2月16日時点で、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明した自治体は、29の都道府県、154の市、2特別区、61の町、18の村の264自治体が表明して、表明自治体の人口は約9,576万人であり、まさに国家的プロジェクトとなっています。 本県のカーボンニュートラルの実現に向けては、県土の84%の森林資源を生かした持続可能な林業振興を通じた森林吸収源対策とCLTの普及、県産材の利用促進などを通じて、建物の木造により都市の脱炭素を図っていくこととしております。また、ものづくりやサービスの省エネルギーの促進により、産業振興と脱炭素の両立を目指すこととしています。 令和3年度予算では、地球温暖対策が進んだ脱炭素社会づくりとして、県内事業に向けたSDGsをテーマにした地球温暖防止に関する普及啓発動画を制作し、ホームページやSNSを活用した効果的な情報発信を行い、広く周知を図ることとしています。 その動画には、持続可能な森づくりの取組や、県の目指す産業振興と脱炭素の確立など、どのような内容を盛り込んで制作していくのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 また、これからの本県のカーボンニュートラルの取組を実効性あるものとしていくためには、本県の林業振興が大きなポイントになってくるものと考えますが、今後どのような形で脱炭素の流れを取り入れ、持続可能な林業振興を図っていくのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、木製品の土木事業への利活用についてお伺いいたします。本県の原木生産量は、森林の成長とともに皆伐施業などで、年々増加していく計画であります。そして、山から搬出されました木材は、A材、B材は主に製材品として、C材、D材は木質バイオマスの発電の燃料やパルプ用材として活用されています。また、それぞれの価格については、バイオマス発電の燃料等の低質材は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、大きく価格が変動することはなく、一定安定はしておりますが、柱材などの製材品は、厳しい価格競争の中で苦労しております。こうした状況に対応していくためには、少しでも多くの木材需要を掘り起こしていくことが必要であると考えています。 木材を使用することは、長期炭素固定となり、大気中にCO2を発出させないことで、カーボンニュートラルに大いに貢献することになります。 高知県の平成29年度の温室効果ガス総排出量は約820万二酸化炭素トンで、そのうち土木関係で使用されるセメントは、製造業、工業プロセスの中に含まれていて、約367万二酸化炭素トンの中に入っています。そして、森林の吸収源、いわゆる吸収量としては約116万二酸化炭素トンとなっているところです。 高知県は日本一の森林県であり、知事も、2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすると宣言され、その取組の中に、県産材の利用促進を通じて、環境負荷の少ない木に置き換えて都市の脱炭素を推進していくこととしております。木材利用の拡大に向けた取組として、土木分野へのCLTの活用の研究が日本CLT協会で始まったと聞いています。 木材製品は、強度や耐久性などにおいて、直ちに道路整備事業などに使用できる部分は少ないかもしれませんが、県土木部において積極的に木材製品を土木事業に使用することは、高知県がこれから進めるカーボンニュートラルの推進、そして中山間地域における大切な雇用の場となっております製材業など、木材産業の大きな振興にもつながると考えます。 土木事業などに木材製品をどのように活用していくのか、土木部長にお伺いをいたします。 次に、鳥獣対策についてお伺いいたします。 鳥獣被害は県の積極的な対応で、防護柵の設置などによる防除とわなや銃による捕獲により被害額は、平成24年の約3億6,000万円から令和元年には1億2,300万円と大きく減少し、また鹿、イノシシなど主な鳥獣の捕獲数は、平成19年から令和元年までの12年間で約4倍に増加している状況です。被害額の内訳は、農業被害が全体の約87%、林業被害が約7%と、農業被害が大きいところです。 狩猟の現状を見てみますと、昭和53年度の1万4,572人をピークに猟友会の会員は、令和元年度には3,516人となり、大きく減少している状況です。また、年齢構成は、60歳以上が76%と、有害捕獲の担い手不足が深刻しているところです。 県では、新規狩猟確保と捕獲技術の向上による捕獲頭数の底上げを行うため、狩猟フォーラムや体験ツアーなどを実施し、また狩猟免許取得のために必要な費用などには支援を行うこととしております。また、猟友会は、こうした県の取組、そしてくくりわな製作講習会などに積極的に関わっており、これからも鳥獣被害対策の協力に期待をしているところであります。 近年、被害状況は下がっていますが、鹿などの野生動物は捕獲していかなければ毎年増加し、狩猟の担い手の確保が進まなければ鳥獣による被害が再び増大していくと思います。県内には、農業、林業の担い手対策の一つに、県立の農業大学校、林業大学校があります。林業大学校では、平成29年度からわな猟免許の受験が必須となり、学生に資格を取得させて、担い手対策の一助になっている状況です。農業大学校では、鳥獣被害対策の授業は必須になっていますが、狩猟免許の受験は任意のようです。 農業被害が最も大きい現状を考えてみれば、農業大学校も林業大学校と同様に、狩猟免許の受験を必須にしてはと考えますが、農業振興部長に所見をお伺いいたします。 次に、鹿捕獲の目標は毎年3万頭としておりますが、現在は約2万頭で推移しております。捕獲方法は、わな猟と銃による捕獲がありますが、近年はわな猟が一番多い状況であります。しかし、わな猟で鹿などを捕獲した場合は、止め刺しをしなければならないですが、なかなかそれができないということで、免許は持っていても実施をやめている人がいるようにも聞いております。 止め刺しに抵抗のある方がわな猟をやめずに狩猟を行っていくことは、捕獲数を増やすことにもつながると思いますが、何か対策がないか、中山間振興・交通部長にお伺いいたします。 次に、道路整備についてお伺いいたします。 道路は、地域住民の生活や、経済と社会活動を支える最も基本となる施設であり、地域が自立していく上で欠かせない重要な社会基盤として、最優先して整備していかなければならない根幹的な施設であります。去る2月27日には、高知南インターチェンジが開通し、高知南国道路が全線開通となり、緊急輸送ネットワークの強化及び防災機能の向上、広域観光ルートの形成による交流人口の拡大など、大きな効果が期待されています。 また、県では新たな広域道路ネットワーク計画を立てて、四国8の字ネットワークなどの高規格道路、一般広域道路、そして新たに構想路線として奈半利室戸道路、幡多西南地域道路を加えて、県内の幹線道路整備を進め、県民の命の道として整備することとしております。このように、県内の道路整備は、少しずつではありますが着実に進んでいることに、関係機関の皆様にお礼と感謝申し上げます。 さて、高知県は、御案内のとおり中山間地域が多く、急峻な地形や厳しい自然環境に阻まれ、土砂災害による通行止めや落石などで、度重なる道路の寸断により陸の孤島となる場合もあります。また、災害復旧工事においては、迂回路がないため、50分通行止め、そして10分通行可能という時間制限が行われ、地域住民の日常生活に大きな支障を来しており、厳しい環境を与えているところです。 県においては、国の「防災・減災、国土強靱のための5か年加速対策」で、インフラ整備などを加速することとしております。 地域住民の生活を考えれば、迂回路がない道路区間を最優先して整備していかなければと考えますが、土木部長に御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 上治議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルス対策に関連をいたしまして、県民の命と生活を守ることへの所見に関してお尋ねがございました。 昨年5月に全国的な緊急事態宣言が解除された後、県政運営に当たりましては、感染拡大防止対策と経済対策の両立という困難な命題が課せられているところであります。全国の第3波の感染拡大を受けまして、県内での感染が急拡大した昨年の11月末以降におきましては、このうち感染拡大の防止にウエートを置いた対策を優先してまいったところであります。 昨年12月には、首都圏などへの緊急事態宣言が発出される前でございましたけれども、御指摘もいただきましたように、他県に先駆けまして、飲食店などを対象に夜8時までとする厳しい営業時間短縮の要請を、県内において行ったところでございます。この要請に、多くの事業の方々に御協力いただいたおかげをもちまして、年末からはその効果が現れ、一昨日までの11日間、新規感染ゼロが続くというような結果につながったと考えております。 本県の落ち着いた感染状況を踏まえますと、感染拡大防止から社会経済活動の回復のほうに、ウエートを徐々にシフトしていくべき段階が来ているというふうに考えております。まずは、県内での消費喚起に向けまして、高知家応援プロジェクトのように、県内におけます食や観光の地産地消の取組に力を入れてまいりたいと思います。さらに、県経済の本格的な回復に向けましては、全国の感染状況も注視をしながら、観光誘客の範囲を県内から四国、中国、全国へと段階的に広げていくということとともに、関西圏をはじめといたしまして、各地への積極的な外商活動の展開を図ってまいりたいと考えております。 最近の全国的な感染状況を見ますと、感染が収束をし県経済が回復するには、一定の時間を要するということが見込まれますので、引き続きその時々の状況を踏まえながら、感染拡大防止と経済対策の両立に取り組んでまいります。 次に、県民座談会でいただきました県民の皆さんからの意見などを、令和3年度予算にどのように生かしたのかというお尋ねがございました。 県民座談会の「濱田が参りました」は、私が県政運営の基本方針といたしております共感と前進の県政を実現するために、県民の皆様と直接対話をさせていただく取組であります。 これまで30の市町村にお伺いいたしまして、地域の皆様から、地域の活性をはじめとして、産業振興や福祉、教育、防災など各分野での取組の状況、そして県政への御要望、御意見などをお聞きしてまいりました。この座談会を通じまして、改めて、人口減少や高齢がもたらします中山間地域の厳しい現状を実感いたしますとともに、中山間地域の対策に取り組む決意を強くしているところでございます。 令和3年度予算におきましては、こうした座談会の中で、地域で熱心な活動をされている方々から御意見をいただきました、集落活動センター立ち上げ後の継続的な支援を強化するというような形で、御意見を反映しております。 また、若い移住の方々が地域で生き生きと活躍をしているということが、この座談会を通じまして、各地で私自身の新たな発見でございました。また、こうしたことに深く感銘を受けました一方で、こうした若い人材が中山間地域では得難い、人材難であるというお話もたくさん伺ったところでございます。 こうしたことも念頭に置きまして、新年度の予算におきましてはコロナ禍で期待されます、地方への新しい人の流れを着実に中山間地域へ呼び込むという考え方に立ちまして、移住促進策を強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。 さらに、特に中山間地域におけます座談会におきましては、道路整備に対します切実な声もたくさんお聞きをいたしました。こうしたことも踏まえまして、地域の実情に応じました、いわゆる1.5車線的な道路整備の予算枠を拡充するというような措置も、新年度の予算で取ったところでございます。 このほかにも、中山間地域には限りませんけれども、例えば、農福連携の推進でありましたり、防災の分野でのいわゆる支援の避難の個別計画の策定でありましたり、そういった県政推進上の主な取組に関して、こういった座談会でいただきました意見を、県政の施策の推進に当たりまして、大いに参考にさせていただいたというところでございます。 今後も、県民座談会をはじめといたしまして、あらゆる機会を捉えて様々な取組の現場に足を運びまして、地域の実情を具体的に把握した上で、中山間地域の活性につなげてまいりたいというふうに考えております。 最後に、高知観光リカバリーキャンペーンの評価とキャンペーン終了後の需要喚起策についてのお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 本県のリカバリーキャンペーンは、宿泊割引を主体とする国のGo To Travel事業に連動する形で、県のほうでは交通費用の助成を独自に上乗せするという施策を取っているものでございます。これによりまして、価格面でのインパクトを持たせますとともに、宿泊をはじめ、公共交通などの観光関連の事業の皆様方に、この施策の経済効果が広く及ぶということを意図したものでございます。 おかげさまで、このキャンペーンは好評を得ておりまして、これまでの間に約13万件の御利用をいただいております。そこから抽出をしたデータによりますと、県外客の方々が約95%、県内客の方々が約5%というような構成比となっております。また、交通手段について見ますと、高速道路の利用が65%台、航空機の利用が9%台、レンタカーや鉄道の利用が7%台となっておりまして、鉄道事業からは、利用が促進されたというようなお声もいただいているところでございます。 昨年の夏にキャンペーンを開始いたしました後、年末にかけましては県内の観光が上向き傾向にありましたことからも、国と県の施策が、こうしたことに向けました相乗効果を発揮できたというふうに考えております。しかしながら、現在県内の観光関連事業の方々は、いわゆる全国第3波の感染拡大によりまして、宿泊などの予約が大幅に減少するといった形で、再び極めて厳しい状況下にあるというふうに考えております。 このため、まずは県民の皆様の御協力を得まして、来週から高知家応援プロジェクトとして、宿泊割引と交通費用助成を行いますリカバリーキャンペーンを併せて行うということといたしました。この事業は、今後誘客のエリアを段階的に広げたいと考えておりますけれども、観光に関わりますチャンスロスを挽回するためには、施策の追加も必要ではないかという思いもいたしているところでございます。 また、先月の末には宿泊事業の団体の皆様から、国の事業と県のキャンペーン終了後の、想定する時期としては今年の後半、7月以降を想定いたしまして、宿泊割引事業の創設などにつきまして御要望もいただいたところでございます。 議員のお話にございました需要喚起策につきましても、厳しい状況にあります観光関連事業の皆様方を御心配されての御指摘だというふうに受け止めております。 現在、国におきましては、Go To Travel事業を再開するに当たっての内容的な見直しも検討されているというふうに承知をしておりますので、まずはその動向を注視いたしまして、それに応じて本県の施策の仕組みを構築してまいりたいと考えております。その際には、このたびの宿泊団体からの御要望なども十分に踏まえました上で検討いたしまして、実施に当たりましては感染状況も見極めて対応させていただきたいと考えております。 私からは以上でございます。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、再造林率の目標に向けた持続可能な森づくりの推進の取組についてお尋ねがございました。 再造林の促進は、将来の森林資源の確保や環境保全の観点から重要な取組であると考えております。このため、令和元年度から各林業事務所単位に、市町村や林業事業体等と連携した増産・再造林推進協議会を設置し、地域ぐるみの推進体制の強化を図ってきたところでございます。現在、この協議会におきまして、森林所有に対し再造林の実施に向けた働きかけや、林業事業体とのマッチングなどを行っているところでございます。 次年度につきましては、さらなる対策として、県単事業の補助事業を活用する皆伐事業に対しまして、森林所有の同意を得た上で事業地の情報をこの協議会に提供することを補助事業の条件に追加してまいりたいと考えております。 また、現在県内の森林につきまして、地形や植生情報等のデジタルを進めております。今後は、このデジタル情報を使って効率的な林業が行える地域の抽出や路網計画の策定などが、コンピューター上で可能となってまいります。こうした情報を基に持続可能な林業の適地を整理した上で、市町村と十分に協議を行いながら市町村森林整備計画に反映させ、再造林を行うべき地域を示して、再造林の促進につなげてまいりたいと考えております。 また、林業事業体の皆様に対しまして、森林認証制度などの事例の紹介や、再造林に必要な作業の効率に関する研修会を開催したいと考えております。さらに県外では、林業事業体が皆伐を行う際の留意事項などについて、自主的に行動規範を定めて取り組んでいる優良事例もございます。これらの実情を調査し、本県に合った仕組みづくりについて検討してまいりたいと考えております。 将来にわたって本県の森林資源を活用し、林業を継続していくためには、市町村、林業事業体、森林所有との連携が重要であると考えております。県といたしましても、幅広く情報の収集を行いまして、研修会などを通じて関係の相互理解を深めながら、持続可能な森づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、事業戦略に取り組んだ中小製材事業体について、県としてどのように支援していくのか、お尋ねがございました。 製材業は、地域で森林資源に付加価値をつける重要な産業であり、経営力の強化や事業承継を進めることが必要と考えております。このため、事業戦略の策定とその実践を支援しているところでございます。この取組によりまして、収益性の回復や意識改革が進み、単年度黒字に転換した事業体も出てきております。さらには、共同により効率的な加工体制を整備し、品質の確かな製材品の安定供給に取り組もうとする事業体も出てきております。 この事業戦略の策定、実践の支援の事業終了後につきましては、アドバイザーなど専門家の派遣事業や県職員の定期的な訪問などを行っております。これらの取組により、コロナ禍のような社会情勢の変化への対応など、事業体自らがPDCAによる事業戦略の改善に向けて取り組んでいけるよう、継続して支援をしてまいります。 次に、SDGsをテーマとした普及啓発動画の内容についてお尋ねがございました。 SDGsを経営に取り入れていくことは、環境意識の高い事業との新たなビジネスチャンスにもつながります。脱炭素の推進に当たってはこうした点も含め、県内事業の皆様にSDGsを意識し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいただくことが重要であると考えております。 まずは、SDGsに興味を持っていただくために、基礎的な情報と先進事例の紹介を内容とした、手軽に見られる長さの動画を作成したいと考えております。また、1次産業も含め多くの皆様に御覧いただき、理解を深めていただけるよう、SDGsの講演会や各種啓発イベント、様々な場面を通じて積極的なPRを行ってまいります。 最後に、今後どのような形で脱炭素の流れを取り入れ、持続可能な林業振興を図っていくのかとのお尋ねがございました。 木材は、炭素を固定する機能をはじめ、環境に優しい建築材としての利用や、低質材の木質バイオマス発電でのエネルギー利用など、環境価値の高い素材であると考えております。この素材を使って、都市部の中高層建築物などを鉄やコンクリートなどから木材へと置き換えることによって、脱炭素につなげることが重要と考えております。 そのためには、企業経営など建築物の施主となる方々に、木造建築物の環境価値に対する理解を醸成することが必要となります。本県では、企業経営の集まりである経済同友会と連携して、木材利用推進全国会議の運営に携わっております。その中で、近年企業の関心が高まっているSDGsの目標達成に、木材を利用することが貢献するということについて、木造建築の事例紹介やセミナーを通じて、企業経営の皆様に理解の醸成を図っているところでございます。あわせて、新たな都市部の木材需要に対応し、県産材を安定供給できるサプライチェーンを構築することを通じて、適切な森林整備につなげてまいりたいと考えております。 こうした一連の取組により、都市の脱炭素の流れを追い風として、本県の持続可能な林業の振興に努めてまいりたいと考えております。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、カーボンニュートラルを推進するために、土木事業などに木材製品をどのように活用していくのかとのお尋ねがございました。 土木部では、県の定めた県産材利用推進方針及び県産材利用促進に向けた行動計画に基づき、積極的に木材利用を推進しているところです。具体的には、コンクリート擁壁などの施工について、県産材の木製型枠の原則利用を義務づけており、令和元年度は100%の使用実績となっております。工事看板やバリケードなどの仮設資材につきましても、原則県内産木材製品の使用を義務づけており、ほぼ全ての工事で使用しております。 また、木柵やポット苗を使用する本県が考案した工法が、道路改良工事ののり面保護工として、平成7年度に国の補助事業として採択されて以来、県の標準的な工法として活用推進してまいりました。ほかにも、地域のシンボル的な施設となる高知駅の大屋根に県産材を使用しております。また、地域の意向や構造物の耐久性、維持管理性に配慮しつつ、ガードレールなどにも木材製品を使用してきたところです。 今後、カーボンニュートラルの推進に関して、引き続き林業振興・環境部とも密に情報交換をしながら、公共土木施設としての品質、価格、耐久性などを考慮した上で、積極的に木材製品の活用に取り組んでまいります。 次に、迂回路がない道路区間を最優先して整備していくことについてお尋ねがございました。 本県は、県土の8割以上を森林が占め、急峻な地形を有しており、加えて降水量も多いことから、毎年のように道路が被災しており、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守る中山間地域の道路整備は非常に重要と認識しております。 中山間地域の災害復旧工事や道路改良工事に当たっては、道路幅員が狭いことなどから時間制限による通行止めの工事となり、地域住民の皆様には大変御不便をおかけしております。現在、県では、道路改良や道路防災総点検で明らかとなった対策箇所の整備につきまして、「防災・減災、国土強靱のための3か年緊急対策」も活用し、鋭意進めているところです。しかしながら、道路防災の対策箇所が2,500か所以上もあるなど、まだまだ整備を要する箇所が多く残っております。 このため、今後も、「防災・減災、国土強靱のための5か年加速対策」を最大限に活用し、迂回路がない区間をはじめとした中山間地域の道路整備や防災対策などに、引き続きしっかりと進めてまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 農業大学校で狩猟免許の受験を必須とすることについてお尋ねがございました。 農業大学校では、拡大が続く鳥獣による農業被害を受け、鳥獣対策関連部署と連携し、平成23年度から鳥獣被害対策について理解を促進するため、被害状況や対策などの講義を行ってまいりました。また、平成27年度に、わな猟の免許取得が18歳から可能となったことに伴い、28年度から単位取得に必要な科目として位置づけ、これまでの講義内容に加え、猟友会の御協力の下、免許を取得するために必要な知識や技術を習得できる座学、実習を行ってまいりました。 農業大学校の学生の進路は、狩猟と関係性の低い就業先も多くございますので、免許の受験自体を必須とはしておりませんが、平成27年度からこれまでに24名が在学中にわな猟の免許を取得しています。県としましても、鳥獣による被害が農業分野で依然として多いことや、科目として位置づけておりますことから、多くの学生に鳥獣被害対策の担い手になっていただきたいと考えております。 そのため、今後は、鳥獣被害が深刻で対策を必要としている中山間地域に就農または就職を考えている学生、あるいは鳥獣被害対策に関わりのあるJAなどへの就職を希望する学生に対する進路指導の際には、狩猟免許の取得を積極的に促してまいりたいと考えております。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) わな猟における止め刺し技術の習得についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたとおり、鹿の年間捕獲数は目標の3万頭に対し、近年は2万頭前後で推移しております。このうち、わな猟での捕獲割合が9割程度を占めている状況でありますことから、鹿の捕獲数を増やしていく上で、特にわな猟を担う狩猟確保や育成が重要な課題であると認識しております。 わなにかかった鹿やイノシシなどにとどめを刺す、いわゆる止め刺しは、猟銃、電気止め刺し器、ナイフなどを使用する方法がありますが、わな猟の中でも技術を要し、事故の危険性の高い作業です。免許を取得されたばかりで現場経験の浅い方にとって、クリアすべきハードルとなっております。 このため、県では、一般社団法人高知県猟友会の全面的な協力をいただき、新たに狩猟免許を取得された方を対象として、わな猟で使用するくくりわなの製作や仕掛け方を学ぶ講習会を開催しております。あわせて、ベテランのハンターと実際に現場で狩猟を体験し、止め刺しなどの捕獲技術や命の貴さを学ぶマンツーマン指導を実施することで、狩猟の現場へ導いているところです。 来年度は、これまでの取組に加え、新たに捕獲経験の浅い若手のハンターを対象に、先輩のハンターによる講演や体験談、悩み相談など、情報交換や学びの場を設け、担い手の確保や育成をさらに進めてまいりたいと考えております。 ◆1番(上治堂司君) それぞれに御答弁ありがとうございました。2回目の質問はいたしませんけれども、1点要請させていただきたいと思います。 やはり土木部が発注いたします公共事業、特に道路整備において木材を使用するということは、多くの県民の目に触れる機会が生まれまして、木材の活用を身近に感じることで、また民間の利用の促進にもつながっていくんではないかと思います。 知事が宣言されました2050年のカーボンニュートラルを目指して、土木部と、そして木材需要の拡大を推進しております林業振興・環境部が連携して、なお一層県産材の普及に取り組んでいただきますよう、要請をしておきたいというふうに思います。 さて、新型コロナウイルス感染症は、日本、世界全体に広がり、1年が経過したところでございます。県では、県民の皆様の御協力により第3波を乗り越えることができましたが、しかしまだまだ終息には至らず、医療体制への準備であるとか、そういう第4波、第5波への備えも必要になってこようかと思います。そして、感染予防の大きな力となりますワクチンの接種は、いよいよ私たちを含める高齢に4月頃から始まる予定でもございます。 濱田知事におかれましては、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策として、県民の命と生活を守り抜くことを第一に考えて、様々な対策に取り組まれてきました。そして、その対策、対応について国に提言するなど積極的な取組を行い、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、本県は238億円で、人口1人当たり全国で3番目、県内の市町村は合計で215億円で、人口1人当たり全国1番の交付金が配分をされました。配分される交付金の指標は、高齢比率や財政力等によるところもありますけれども、濱田知事の取組、そして提言など、そういう行動力によるところも大きかったというふうに思います。その知事の姿勢に高い評価をするところでございます。 4月から始まる令和3年度は、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、第4期産業振興計画のバージョンアップ、日本一の健康長寿県づくり、デジタルの推進、そして中山間対策の充実強化など多くの施策を展開して、濱田カラーを出しながら県政運営を進めていただきたいというふうに思います。私たち自民党会派も、県民の皆様の声を県政に届けながら、執行部と車の両輪となって県勢浮揚に全力で取り組んでまいります。 最後になりましたけれども、3月末で退任をいたします岩城副知事におかれましては、尾崎県政、濱田県政を支えて県勢浮揚に御尽力をいただきました。また、様々な面で大変な御苦労もあったことと思います。そしてまた、私が馬路村村長時代には、村政の発展に様々な角度から御指導をいただきました。本当にありがとうございました。心からお礼と感謝を申し上げます。そして、これからの新たな道でのますますの御活躍もお祈りいたしたいというふうに思います。 最後にもう一度、知事はじめ執行部の皆様に、令和3年度も全力で頑張っていただきますようにエールを送りまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明4日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時36分散会...